蜀犬 日に吠ゆ

2009-12-07

子貢

[][][][]先進第十一を読む(その8) 21:22 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その8) - 蜀犬 日に吠ゆ

子、これを哭して慟す。

 先進第十一(254~278)

262 顔淵死。死哭之慟。従者曰。子慟矣。非夫人之為慟。而誰為。

(訓)顔淵死す。子、これを哭して慟す。従者曰く、子、慟するか。曰く、慟あらんには、夫の人の為に慟するに非ずして、誰が為にせん。

(新)顔淵が死んだ。孔子が身体を投げ出して泣きくずれた。従者曰く、先生、あまりおなげきになっては、お身体にさわります。曰く、何も言ってくれるな。あの人のことだけは、泣けるだけ泣かせてくれ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 従者=子貢でキマリ!

 英語で言うなら 「Cry for no-pne...No-one but YOU

NO-ONE BUT YOU

(ONLY THE GOOD DIE YOUNG)

*1

A hand above the water

An angel reaching for the sky

Is it raining in Heaven -

Do you want us to cry?


And everywhere the broken-hearted

On every lonely avenue

No-one could reach then

No-one but you


One by one

Only the Good die young

They're only flyin' too close to the sun

And life goes on -

Without you...


Another Tricky Situation

I get to drownin' in the Blues

And I find myself thinkin'

Well - what would you do?


Yes! - it was such an operation

Forever paying every due

Hell, you made a sensation

You found a way through - and


One by one

Only the Good die young

They're only flyin' too close to the sun

We'll remenber -

Forever...


And now the party must be over

I guess we'll never understand

The sense of your leaving

Was it the way it was planned?


And so we grace another table

And raise our glasses one more time

There's a face at the window

And I ain't never sayin' goodbye...


One by one

Only the Good die young

They're only flyin' too close to the sun

Cryin' for nothing

Cryin' for no-one

No-one but you

クイーン『クイーン・ロックス』EMI
Queen Rocks

Queen Rocks



 小声で目から涙がこぼれて哀しむのを「泣」、涙はなく声だけを大きくあげて哀しむのを「哭」、身体をわせ揺るがせ喪心状態で哀しむのを「慟」という。哀しいときに人が表す状態で、哭は礼であるが、慟はその哀しみの度を越えたものとなる。

加地伸行『論語』講談社学術文庫

 つまり、感情にまかせて暴れるのは礼に反する行いである、それで従者(暗黒伝では子貢)がおどろいた、ということになります。

 ただ、慟の字の解釈自体がそれで正しいのかには疑問があるそうです。

 慟の字は、いまわれわれが普通慟哭と使うほどの意味であろうが、この字、先秦の他の古典には見えず、「論語」のここだけに見える。使用例の総和から、正確な意味を割り出すことはむつかしいが、一つには「慟」tong というその音声の姿から、二つにはこの文章の中でこの字がもつべきはたらきから推測して、感情の極度の興奮による生理の激変をいうにちがいない。また使用例の少ないことも、めったに使われないほど強烈な語であることを、裏から示すかもしれない。古注には馬融を引いて、「慟は哀しみの過ぐるなり」といい、新注もまたそれを襲っている。そうしてそれはまた古注に孔安国を引いて、「己の悲哀の過ぎたるを自ずから知らざるなり」というように、孔子はみずから気づかずして慟哭したのである。つまり取りみだして思いきり泣いたのである。つねに節度ある行動を尊ぶ孔子としては、めずらしいことであった。

吉川幸次郎『論語』下 朝日選書

 古典の研究者って、「会意」で解釈しないからやぁねぇ。「心が(はげしく)動いた」ではいかんのでしょうか。いかんのでしょうね。


 「顔回のためでなかったら、誰のために泣くのだ」

 なんぴとも一島嶼にてはあらず

 なんぴともみずからにして全きはなし

 ひとはみな大地(くが)の一塊(ひとくれ)

 本土のひとひら そのひとひらの土塊(つちくれ)を

 波のきたりて洗いゆけば

 洗われしだけ欧州の土の失せるは

 さながらに岬の失せるなり

 汝(な)が友どちや汝(なれ)みずからの荘園(その)の失せるなり

 なんぴとのみまかりゆくもこれに似て

 みずからを殺(そ)ぐにひとし

 そはわれままた人類の一部なれば

 ゆえに問うなかれ

 誰がために鐘は鳴るやと

 そは汝(な)がために鳴るなれば

              ジョン・ダン*2

ヘミングウェイ 大久保康夫訳『誰がために鐘は鳴る』新潮文庫

*1:Written by Brian May Produced by Queen Engineered by Justin Shirley-Smith and Joshua J.Macrae Published by Queen Music Ltd./EMI Music Publishing Ltd.

*2:ジョン・ダン(1573―1631)イギリスの詩人・神学者。カトリック教徒として育てられたが、のち英国教会に改宗した。一六一五年英国教会の牧師となり、国王チャールズ一世の前でもしばしば説教した。のち聖パウロ大寺院の司祭長となり、最後までこの職にあった。諷刺詩・書簡詩・挽歌など多くの作品を残し、その思想と学識、情熱とウイットを駆使して、いわゆる形而上派詩人の第一人者としてT・S・エリオットやイェーツなどにまで大きな影響をあたえた。著書『世界の解剖』『霊魂の進歩』など。