蜀犬 日に吠ゆ

2010-01-11

[][][]蛇の章を読む(その7) 16:40 はてなブックマーク - 蛇の章を読む(その7) - 蜀犬 日に吠ゆ

執着するもとのもののない人は、憂うることがない


第一 蛇の章

二、ダニヤ

三〇 忽ちに大雲が現われて、雨を降らし、低地と丘とをみたした。神が雨を降らすのを聞いて、ダニヤは次のことを語った。

三一 「われらは尊き師にお目にかかりましたが、われらの得たところは実に大きいのです。眼ある方よ。われらはあなたに帰依いたします。あなたはわれらの師となってください。大いなる聖者よ。

三二 妻もわたしもともに従順であります。幸せな人(ブッダ)のもとで清らかな修行を行いましょう。生死の彼岸に達して、苦しみを滅しましょう。」

三三 悪魔パーピマンがいった、

「子のある者は子について喜び、また牛のある者は牛について喜ぶ。人間の執著するもとのものは喜びである。執著するもとのもののない人は、実に喜ぶことがない。」

三四 師は答えた。

「子のある者は子について憂い、また牛のある者は牛について憂う。実に人間の憂いは執着するもとのものである。執着するもとのもののない人は、憂うることがない。」

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 ダニヤさん、いつ改心したのでしょうか。雨が降ってしばらく暇になるからちょっくら修行でもしましょうか、という感じですかね。

 みずからの心の喜びに執着してはいけない。それは悪魔の言葉であります。憂いは執着するものから生じるのですから、まずものへの執著をなくせば、憂いはなくなる。

 喜びはどうなってしまうのでしょうね。自分の家族や財産に対する自己満足的な喜びを捨て去ったとして、また別に善いことがあるのかどうかについては、この章ではいまだ述べられません。