蜀犬 日に吠ゆ

2010-01-21

[][][]ワイス、ヒックマン『ドラゴンランス』3 角川つばさ文庫(その4) 21:17 はてなブックマーク - ワイス、ヒックマン『ドラゴンランス』3 角川つばさ文庫(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

  1. タニスとローラナ
    • エルフの王女ローラナはタニスの下を訪れ、タニスはキティアラへの思いを語る。
      • というか、この辺の展開はもっさりしていると思います。黒竜編のスピード感が懐かしい。
  2. 旅立ち 一行の決心
    • エルフの宴会
    • クォリノスト撤退の計画が明かされる。
      • エルフ撤退の時間稼ぎのため、パックス・タルカスに捕らえられた囚人達の解放計画も再開される。
    • タニスとレイストリンは軍隊言葉(キャンプトーク)で秘かに会話する。
      • キャラモンを除いてみんなレイストのことが嫌いなのに、タニスは結構レイストリンを頼りにしますね。
        • そしてレイストリンは断片的にしか情報を発しない。
    • 一行はエルフを信用しない。タニスはエルフの肩を持って逆上する。
  3. 疑い 待ち伏せ 新しい友
    • 旅の準備
      • エルフの用意した「クィス=パ」(鉄の糧食)とは、干した果物。レンバスとどっちがましでしょうか。
    • ギルサナスの案内で「スラ=モリ」(秘密の道)を目ざす。
    • 途中で、ドラコニアンとの戦いで負傷した人間の傭兵エーベン・シャターンストーンと合流。
    • 一行は誰かからつけられている
  4. つのる疑惑 スラ=モリ
    • スラ=モリとは、昔のエルフの王キス=カナンの霊廟。かつてエルフとドワーフが協働して建設した巨大要塞パックス・タルカスへの抜け道がある。
    • スラ=モリの入り口で野営。ゴールドムーンはキャラモンに、彼がティカに迫らないようにと忠告する。
    • (先祖の間)に入り、玉座に座ったまま朽ちはてたキス=カナンの姿を見る。
    • 巨大なめくじに襲われる。ローラナが先祖の間に入ってきてなめくじに攻撃されれる。
      • フィズバンはファイヤボールを覚えていない。レイストリンにはまだ扱えない。
        • レイストリンは、なんですか2レベルマジックユーザー?
      • レイストリンのエネルギー・ボルトがなめくじを一撃! しかしダメージはほとんど無し。
        • 役にたたねえ。
      • なめくじの酸で剣を溶かされたタニスは夢中でキス=カナンの剣を引き抜き、なめくじに斬りかかる。
        • なめくじは通路の奥に姿をかくす。
          • これから世界を救おうという勇者の一行が、なめくじに勝てないというのも、悲しいものがありますね。黒竜も、青水晶の杖で倒したようなものですからねえ。
    • ついてきてしまったローラナも一行に合流。
      • 前にも書きましたが、これでパーティ総勢13人! 捌ききれないでしょう。
  5. 近衛隊 鎖室
    • レイストリンが邪悪を警告する通路に一行は進む。エルフの裏切りを疑う一行は、ギルサナスを先頭にして歩かせる。
      • マーチングオーダーでもめるなんて、厳しいですね。これじゃ戦闘に全力を注げるわけもないか。
    • ついでにレイストリン(明かり)も戦闘を歩く。
      • 「杖はぼくしかさわれませんよ」というか、みんなレイストのことが嫌いなわりに、誰もトーチやランタンをもちたがらないという、なんというかもうね、ひどいね。
    • エルフ王家の(近衛兵)の納骨堂にはいる。近衛兵は死後も王の護衛を行う。
      • ゴールドムーンのもつミシャカルのメダリオンで戦闘を回避。
    • パックス・タルカスの門を花崗岩でふさぐ、伝説の(鎖室)に入る。
      • キス=カナンの財宝室の扉を開け、守護者である黒エルフ(ドロウ)の霊魂が鎖室に出て来る。
      • 魂を奪う叫び声を避けるために、一行は部屋を脱出。
  6. 迷う 計画 裏切り!
    • タッスルとフィズバンは鎖を登るかたちになり、一行からはぐれる。
      • フィズバンの明かりはウィル・オ・ウィスプ。意志を持っているかのように動く。そして、暗いところが嫌い! 役にたたねえ。
    • ギルサナスが囚人解放の計画を一行に説明する。
      • ヴェルミナァルドと赤竜エンバーがクォリネスティ攻撃に出ていった隙を突き、まず女囚・子供の人質を解放。その日時を囚人達に伝えておいて、相呼応するかたちで反乱を起こし、パックス・タルカスから脱出する。
    • タッスルとフィズバンはドラゴン卿ヴェルミナァルドの部屋の上に辿りつき、部屋の動静をうかがう。
      • 赤竜エンバー、またの名をパイロスというヴェルミナァルドの騎竜は、暗黒の女王からヴェルミナァルドを監視する任務を帯びており、またドラゴン卿にも秘密の任務をもう一つ持っている。
      • 暗黒の女王は、(永遠の男 エヴァーマン)と呼ばれる男をアンサロン大陸から見つけ出すことであった。邪竜たちはその男を(緑宝石の男)と呼び、人間としての名はベレムである。
      • パイロスは人間に姿を変え、ヴェルミナァルドとともにトード長官が捕らえた囚人を検分する。
    • ドラコニアンが「裏切り者がミシャカルの僧侶を要塞内に引き入れた」と報告する。


[][][]蛇の章を読む(その15) 19:30 はてなブックマーク - 蛇の章を読む(その15) - 蜀犬 日に吠ゆ

耕して種を播く

第一 蛇の章

四、田を耕すパーラドヴァージャ

 わたくしが聞いたところによると、――あるとき尊き師(ブッダ)はマガダ国の南山にある「一つの茅」というバラモン村におられた。そのとき田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは、種子(たね)を播く時に五百挺の鋤を牛に結びつけた。

 そのとき師(ブッダ)は朝早く内衣を着け、鉢と上衣をたずさえて、田を耕すバラモン・バーラドヴァージャが仕事をしているところへ赴かれた。ところでそのときに田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは食物を配給していた。

 そこで師は食物を配給しているところに近づいて、傍らに立たれた。田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは、師が食を受けるために立っているのを見た。そこで師に告げていった、「道の人よ。わたしは耕して種を播く。耕して種を播いたあとで食う。あなたもまた耕せ、また種を播け。耕して種を播いたあとで食え」と。

 (師は答えた)、「バラモンよ、わたくしもまた耕して種を播く。耕して種を播いてから食う」と。

 (バラモンがいった)、「しかしわれらは、ゴータマさん(ブッダ)の軛も鋤も鋤先も突棒も牛も見ない。それなのにゴータマさんは『バラモンよ。わたしもまた耕して種を播く。耕して種を播いてから食う』という」と。

 そこで田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは詩を以て師に呼びかけた。


七六 「あなたは農夫であるとみずから称しておられますが、われらはあなたが耕作するのを見たことがない。おたずねします、――あなたが耕作するということを、われらが了解し得るように話してください。」

七七 (師は答えた)、「わたしにとっては、信仰が種子(たね)である。苦行が雨である。智慧がわが軛と鋤とである。慚(はじること)が鋤棒である。心が縛る縄である。気を落ちつけることがわが鋤先と突棒とである。

七八 身をつつしみ、ことばをつつしみ、食物を節して過食しない。わたくしは真実をまもることを草刈りとしている。柔和がわたくしにとって(牛の)軛を離すことである。

七九 努力がわが(軛をかけた牛)であり、安穏の境地に運んでくれる。退くことなく進み、そこに至ったならば、憂えることがない。

八〇 この耕作はこのようになされ、甘露の果実(みのり)をもたらす。この耕作を行ったならば、あらゆる苦悩から解き放たれる。」

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 さあ、いよいよ師ブッダが旅に出ました。田を耕すバラモン・バーラドヴァージャとの対話が始まります。註によればこれはブッダオリジナルではないそうですが。

ジャイナ教のほうに伝わったIsibhasiyaim,chapter 26(p.529)のうちに同様の対話が存する。同様に、宗教的修養を農耕にたとえている。仏典(『スッタニパータ』など)の叙述のほうが、ジャイナ教のそれよりももっと発達した形態を具えている。恐らく、両宗教が起るよりも以前から、一般修行者のあいだでこのような説明がなされていて、ジャイナ教も仏教もそれを継承し、それぞれ独自に発展させたのであろう。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 「わたくしが聞いたところによると」はいわゆる「如是我聞」でしょうか。註では

 わたくしが聞いたところによると――evam me sutam.

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 となるようです。

 師ブッダは南山のバーラドヴァージャと対話します。

 バーラドヴァージャ――Bharadvaja. この姓はバラモンの姓である。奈良の大仏の開眼供養の導師をつとめた婆羅門僧正はインド人であったが、かれの俗姓はBharadvaja であった。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 すると漢字表記は菩提僊那となりますかね。

 仏教の僧侶は働かない。無為徒食しているではないか、ということは、インドでは後世になってもバラモン教徒から発せられた非難であった。シナ・日本の儒学者、日本の国学者も、仏教に対して同様の非難をむけていた。ここでは思想史的に重大な問題が提起されているのである。これに対して仏教側からは、修養生活に勤めることが積極的な行動であると答えているのである。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 たしかに仏教の、この部分はいただけませんが、禅宗のように作務を始めてしまうのも、仏教の要諦からすればすこし誤解があるのではないかと思います。すべての人が出家すると人類は滅ぶわけですが、「滅んでもいいじゃん」というのが仏教の立場であるはず。

 七七の註。

 苦行――苦行の称讃については『マヌ法典』第一一編第二三九詩参照

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 仏教は苦行を否定するはずですが、この章自体が仏教以前の修行者の対話を取り込んだものなのでこうした部分が残ってしまったのでしょうか。

 安穏――その原語yogakkhema は、通常ニルヴァーナの同義語と解せられる。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 甘露――甘露の原語amata は「不死」という意味もある。だからここの文句は「不死の果報をもたらす」と訳すこともできる。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 バーラドヴァージャは、師ブッダに対して「なぜ働かないのか」と韻文形式で尋ねます。師ブッダはそれに対して「修養生活こそが私の仕事だ」と、これまた韻文形式で答えたのでした。


[][][][]子路第十三を読む(その2) 19:30 はてなブックマーク - 子路第十三を読む(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

小過を赦し、賢才を挙げよ

 子路第十三(303~332)

304 仲弓為季氏宰。問政。子曰。先有司。赦小過。挙賢才。曰。焉知賢才而挙之。曰。挙爾所知。爾所不知。人其舎諸。

(訓)仲弓、季氏の宰となり、政を問う。子曰く、有司を先にし先の有司は、小過を赦し、賢才を挙げよ。曰く、焉んぞ賢才を知りてこれを挙げん。曰く、爾の知るところを挙げよ。爾の知らざる所を、人其れこれを舎(お)かんや。

(新)仲弓が季氏の奉行となり、政治のやり方を尋ねた。子曰く、これまでいた役人は小さな過失があっても見逃してやり、新たに人才をどしどし登用するがよい。曰く、どんな方法で人才を見つけて登用しますか。曰く、先ずお前の見つけた人を登用することだ。そうすればお前の知らない人才は、黙っていても人が推薦してくれるようになる。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 先有司の句を従来は、有司を先にす、部下の配置が大切だ、という意味に読まれてきた。しかし仲弓が新たに季氏の宰となった立場から考えて、先の有司と読んだ方が一層適切だと思う。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 仲弓と言えば犂牛之子。「山川其舎諸」というのがこの章句の「人其舎諸」と対応しているのでしょうか。

 何にしても、雍や南面せしむべしと評価した仲弓(冉雍)がいよいよ仕官に成功します。季氏の宰というのは、子路のにおいがしますし、冉求のようになられても困ると言ったところでしょうから、慎重な忠告になるわけです。


 小さな過ちを赦す。賢才を登用する。簡単に言いますけれども、実行は難しそうですねえ。

 小さな過ちを赦せば、小役人は「どのくらいまで大丈夫なんだろう?」と少しづつ探りを入れて権力を私的に使うようになるでしょう。目立って放埒になってから厳しく接するのであれば、「なぜ初めからきちんと監督せずに甘やかしたのか」というのが問題になるでしょうし、赦す側で「ここまでは赦すがこれ以上は赦さない」という基準をきちんともっていなければどんどんと法令は弛緩してしまいます。

 賢才を挙げる不安は、仲弓も感じたようで、そうちょくちょく人材などいるものでしょうか。夫子は「お前が気づいた人をどんどん登用したらいいんだ」といいますが、その才能を見抜くというのもある種の能力が必要ですからね。仲弓ほどの男であれば可能なのかもしれませんが、この凡骨には難題ですね。

 孔子が仲弓にかける期待の大きさが分かろうというものです。