蜀犬 日に吠ゆ

2010-01-27

[][][][]子路第十三を読む(その8) 20:29 はてなブックマーク - 子路第十三を読む(その8) - 蜀犬 日に吠ゆ

曰く、既に富めば、又何をか加えん

 子路第十三(303~332)

311 子適衛。冉有僕。子曰。庶矣哉。冉有曰。既庶矣。又何加焉。曰。富之。曰既富矣。又何加焉。曰。教之。

(訓)子、衛に適(ゆ)く。冉有、僕たり。子曰く、庶(おお)いかな。冉有曰く、既に庶し。又何をか加えん。曰く、これを富まさん。曰く、既に富めば、又何をか加えん。曰く、これに教えん。

(新)孔子が衛に行った。冉有が御者となって車を走らせた。子曰く、大勢の人だな。冉有曰く、人が多くても、何か足りないものがありますか。曰く、生活を楽にしてやらねば。曰く、生活が楽になったとします。まだ足らぬものがありますか。曰く、教育することだ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 冉有の、この質問の仕方は、子貢の、必ず已むを得ずして去らばとは逆ですね。

 人が多いというのは、

老先生はおっしゃった。「人が多いな。(逃げないのはいいことだ)」

加地伸行『論語』講談社現代新書

 というわけで、民を虐げず、平和な国では、人が逃げず、むしろ集まってくるのでした。

 孔子の政治の理想は、民にまで文明を行き渡らせることにありますが、それは、経済的基盤をつくってからだということでしょうか。人が多いと言うことは、あるていど「信」があるということと見てよいのかもしれませんし、民から「信」がある、というのはそのくらいの意味なのかもしれませんね。