2010-02-22
■ [書留][儒教][憲問第十四][宮崎市定]憲問第十四を読む(その7) 
命を為るには、裨諶、これを草創し
憲問第十四(333~379)
341 子曰。為命。裨諶草創之。世叔討論之。行人子羽脩飾之。東里子産潤色之。
(訓)子曰く、命を為(つく)るには、裨諶(ひじん)、これを草創し、世叔(せいしゅく)、これを討論し、行人子羽、これを脩飾し、東里の子産、これを潤色せり。
(新)子曰く、鄭国で君主の命令を出すとき、裨諶が草案を造り、世叔がそれを吟味し、行人子羽が修正案を出し、東里の子産が最終的にまとめあげた。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
中国に特有な起承転結の四段階のリズムが此処にも現われているのが面白い。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
もちろん孔子はこの鄭国のやり方を賞めているのでありまして、それは、入念に準備をして不備や遺漏をなくそうとする姿勢と、どんな賢人であっても間違いを起こすことは避けられないので、必ず幾段階にもチェックを、客観的な立場から行う必要がある、と言うことでしょう。
四つの段階としてある草創、討論、修飾、潤色は、今日の日本語として常識的に理解されるものを、あてはめてよいであろう。
吉川幸次郎『論語』下 朝日選書
しかし、例えば現代日本語では「討論」のイメージは一人の仕事ではないような。草案を作成した裨諶と質疑応答をするのでしょうか。「検討」というのであれば世叔一人でできるのでしょうけれども、「論」はすこし現代とは異なる意味なのかもしれません。
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