蜀犬 日に吠ゆ

2010-03-13

[][][][]憲問第十四を読む(その21) 16:04 はてなブックマーク - 憲問第十四を読む(その21) - 蜀犬 日に吠ゆ

その言の其の行いに過ぐるを恥ず

 憲問第十四(333~379)

361 子曰。君子恥其言之過其行。

(訓)子曰く、君子はその言の其の行いに過ぐるを恥ず。

(新)子曰く、諸君は、言葉が実行よりも立派なことは恥辱である、と銘記してほしい。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 これを言いて怍じざれば実行は難しい、というのと同じことを、逆から言ったのでしょう。里仁第四躬の逮ばざるを恥ずればなり、でも触れられた、君子は言葉を大切にする、言ったことには責任を持って行動することの繰り返しです。

 こうした言葉が多く残されたのは、分かっていても難しい教えであることの裏返しでしょうか。


 宇野先生は読み下しからして異なる解釈。

子曰はく、君子はその言を恥ぢて、其の行ひを過ごす。

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

[通釈] 君子はその言をはじらって引込むようにして敢えて尽くさず。その行いの餘りあらんことを勤める。

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

[解説] この章は言行のかくあるべきことを述べたのである。

 言は放ち易いから恥じなければならぬ。行いは尽くし難いから過ごさなければならぬ。(黄幹)

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

 すなわち「過」の字を言葉と行動を比較するものとはとらえずに、「恥」に対応する対句表現と解釈したわけです。これでも意味は通じますが、ほかの章句との関連性は薄れますね。