蜀犬 日に吠ゆ

2010-04-02

世界樹の迷宮

[][][][]衛霊公第十五を読む(その9) 15:38 はてなブックマーク - 衛霊公第十五を読む(その9) - 蜀犬 日に吠ゆ

臧文仲は其れ位を窃む者

 衛霊公第十五(380~420)

392 子曰。臧文仲。其窃位者与。知柳下恵之賢而不与立也。

(訓)子曰く、臧文仲は其れ位を窃む者か。柳下恵の賢を知りて、与(とも)に立たざるなり。

(新)子曰く、魯の臧文仲は禄盗人と言えようか。柳下恵の賢人であることを知って、かえってこれを排斥した。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 臧文仲は公冶長第五臧文仲、何如んぞ其れ知ならんやと酷評されています。賢者との評判が高かったことにたいして孔子は批判的でした。

 臧文仲が柳下恵を登用しなかった理由は不明です。一般的な心情から憶測するのであれば、すぐれた人間に嫉妬し、自分の地位が奪われるのではないかと恐れた、のでしょう。そうした個人的な感情を持つこと自体は、おそらく孔子はそれほど罵倒しないのではないでしょうか。ただ、一国の宰相としては、個人の感情よりも国を豊かに平和なものにするための責任を優先させなければならないのであって、有用な人物を、そうと知りつつ政事に迎え入れないのであれば、給料泥棒であるといわれてもいたしかたのないところでしょうね。