蜀犬 日に吠ゆ

2010-04-08

[][][][]衛霊公第十五を読む(その15) 20:08 はてなブックマーク - 衛霊公第十五を読む(その15) - 蜀犬 日に吠ゆ

君子は言を以て人を挙げず

 衛霊公第十五(380~420)

401 子曰。君子不以言挙人。不以人廃言。

(訓)子曰く、君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃せず。

(新)子曰く、諸君は言葉を聞いただけでその人を評価してはならないし、たとえつまらぬ人でも言うことがよかったら聞き流してはならない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 宰予も昼寝までした甲斐があったというものですね。それで思いついたのですが、孔夫子の甘い人物評価に業を煮やした宰予がしかけた一流の罠だったという可能性はないでしょうか。そうでなければ、あんなに「戦慄の栗の木」だの「仁の湧きでる不思議な井戸」などと出鱈目放題の男が、孔門十哲に含まれる意味が分かりません。


 するとこうだ。

宰予「先生も甘いなあ。『人に於いてや、其の言を聴きて其の行いを信ず』とかなんとか、そんなことでこの世間を渡ってゆけるだろうか」

弟子「口が達者な君が先生にその事を申し上げちゃどうなんだい」

宰予「むろん言ったさ。そしたら、『徳ある者は必ず言あり』だとかなんとか、立派なことをおっしゃったけれども、それはまた別の話だろ。なんだかはぐらかされちゃったよ」

弟子「子路さんや子貢さんのほうから言ってもらえばちょっと違うんじゃないかなあ」

宰予「いや、そんなことより、もっと強烈な策もあるんだ。今日の講義に先だって、僕は先生にいくつか質問をしておいた」

弟子「で?」

宰予「そして、僕は、講義に行かないつもりなんだ」

弟子「どういうこと?」

宰予「おそらく先生は僕と問答をするつもりだろうが、僕はそれをすっぽかす!」

弟子「そんな非礼な!」

宰予「非礼こそが、僕の、最も根源的な質問となるはずだ!」

宰予「つまり、僕は、これから」

宰予「あえて……寝る!」


 可能性として、まあないでしょうけれども。