蜀犬 日に吠ゆ

2010-04-18

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 龍の探索、二回目。

孔明、三顧に臨み、隆中、歌劇場と化す

 さて臥竜訪問一発目が不発に終わった劉備は、関羽の言を聞いて孔明の消息をしらべてから、再度急襲することに決めた。

酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明』第壱部 文春文庫 p516

孔明、三顧に臨み、隆中、歌劇場と化す

 そして数日後、密偵の報告では、

「孔明と思われる怪しい男が自宅にいるのを確認した」

 ということだった。

「よし。関羽、張飛、現場にいそぎ飛ぶぞ。劉備軍団の威信に賭けて、今度こそヤツの身柄を押さえる」

 とはいうものの劉備の乗り気のなさに変化はない。

(雪降ってて寒いのに。面倒くさいな、行きたくないな)

 とか、登校拒否児童のような、かなり嫌気がしている。

酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明』第壱部 文春文庫 p516

 歴史を既に知っている我々は、二度目の訪問も空振りになることが分かっているので、「晴れてからでいいジャン」とか思いますが、結果を知ってから動くことが出来ないのが、人生なのでしょうね。

孔明、三顧に臨み、隆中、歌劇場と化す

先に張飛が(略)不満顔で吠えた。しかし先に本音を鳴らされると、なんか同意したくなくなるへそ曲がりな気持ちは誰にだってあろう。劉備は、例によってきりりと表情を引き締めポーズをつくり、きっと張飛を睨み付けた。

酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明』第壱部 文春文庫 p518

 意地っ張りでとりあえず臥竜岡にむかう義侠三兄弟。そこに、孔明の罠ならぬ、龐徳公の罠が炸裂!

孔明、三顧に臨み、隆中、歌劇場と化す

 隆中に入ると、さすがに今日は農夫たちの姿はない。雪に馬の足が沈み、難渋しつつさらに行くと路傍にぽつんとたつ酒家が見えた。しかもこの大雪の中でも営業しているらしく、中から高吟談笑の声が聞こえてくる。

(はて? 先日足を運んだ折には、こんな店はなかったが)

 関羽、張飛もそう思ったらしく、訝しげな表情だ。(略)

 怪異譚ではこういう場合、狐か狸か妖怪か仙人が、疲れた旅人に幻覚を見せているか、思い切り夢だったというオチが定説である。疑うべきであった。しかし渇きに苦しんだ末にオアシスを見つけた旅人の心中には疑念が湧き起こる余裕などないものである。劉備らは馬を繋ぐ手ももどかしく、鼻水垂らして酒家に駆け込んでいった。『三国志』の読者はこのくだりを変に思わないのだろうか。恥ずかしながらわたしも最初は何とも思わなかった。恐ろしいことだ。

酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明』第壱部 文春文庫 p519

 わたしも酒見先生に指摘されるまで何とも思っていませんでした。恐ろしいことです。