2010-05-09
■ [書留][儒教][陽貨第十七][宮崎市定]陽貨第十七を読む(その4) 
子張仁を問う
陽貨第十七(435~460)
440 子張問仁於孔子。孔子曰。能行五者於天下為仁矣。請問之。曰。恭寛信敏恵。恭則不侮。寛則得衆。信則人任焉。敏則有功。恵則足以使人。
(訓)子張、仁を孔子に問う。孔子曰く、能く五者を天下に行うを仁と為す。これを請い問う。曰く、恭・寛。信・敏・恵なり。恭なれば侮られず。寛ならば衆を得。信なれば人、これに任ず。敏なれば功あり。恵あれば以て人を使うに足る。
(新)子張が仁とは何かを孔子に尋ねた。孔子曰く、五つのことを広く天下に実施したなら仁者と言える。(子張曰く)それを詳しく承りたく存じます。曰く、五つとは、恭・寛・信・敏・恵のことだ。自身が恭倹に慎めば他から侮られない。他人を寛大に取扱えば、多勢がついてくる。信用を重んずれば人が仕事を任せてくれる。敏捷に働けば能率があがる。恩恵をたれる人であって始めて他人に命令して動かすことができる。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
これは役人としての心構えといった雰囲気ですね。君子というか、天下国家を相手にしたときの仁とはまた別の。仕官の際のはなむけというか、そういう場での言葉であったのかも知れません。
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