蜀犬 日に吠ゆ

2010-05-18

[][][][]陽貨第十七を読む(その13) 19:11 はてなブックマーク - 陽貨第十七を読む(その13) - 蜀犬 日に吠ゆ

孺悲、孔子に見えんと欲す

 陽貨第十七(435~460)

454 孺悲欲見孔子。孔子辞以疾。将命者出戸。取瑟而歌。使之聞之。

(訓)孺悲、孔子に見えんと欲す。孔子、辞するに疾を以てす。命を将(おこな)う者、戸を出づ。瑟を取りて歌い、これをしてこれを聞かしむ。

(新)孺悲が孔子に面会を求めて来た。孔子は病中であるから、と口実を設けて断わった。取次の者が孔子の部屋を立ち去るや否や、大きな琴をひきよせてかきならし、表まで聞こえよがしに高い声でそれにあわせて歌ってみせた。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 性格悪いですねえ。しかし、何一つ非礼な振る舞いはしていないわけでして、礼を使いこなせばこう言うこともできる、ということでしょう。陽貨の時の丁々発止と比べると、孺悲はずいぶん格下であることが分かります。

 というか、孺悲は、広い意味では孔子の弟子です。

 なぜ孔子が面会しなかったのか、その理由に定説はない。ただ、孺悲は魯国の君主の哀公に命ぜられて孔子のところに行き、士喪礼(士階級の喪礼)を学んでいる(『礼記』雑記篇)。広い意味では弟子である。

加地伸行『論語』講談社学術文庫

 ということで、孔子としては、「会わないこと」で何かを教えようとしたのかもしれません。


 あと、「疾シツ」を理由に断り、「瑟シツ」をかき鳴らす当たりは、ダジャレの可能性も捨てきれません。