蜀犬 日に吠ゆ

2010-06-05

[][][][]子張第十九を読む(その4) 19:56 はてなブックマーク - 子張第十九を読む(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

日にその亡き所を知り

 子張第十九(472~496)

476 子夏曰。日知其所亡。月無忘其所能。可謂好学也已矣。

(訓)子夏曰く、日にその亡き所を知り、月にその能くする所を忘るなし。学を好むと謂うべきのみ。

(新)子夏曰く、日ごとにこれまで知らなかった新しいことを学び、一月たってその間に学んだことを忘れはしなかったかと確認する。それが本当の勉強家のやることだ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 清代の考証学者、顧炎武の『日知録』はここからタイトルをつけているんですよね。ゆかしいなあ。ステキだなあ。

 子夏が言いたいのは、短期記憶と長期記憶についてのことでしょうねえ。現代的に言うなら。わたしも、『論語』を読んでいい気になっていますけれども、序盤の方は去年に読んだこともあってもう忘れてしまいました。禅宗の徒のように「全てを学び、全てを忘れ」とすましてすむならそれでもいいのですが、そういうわけにも生きません。折角読んだ論語を血肉としたいものです。そのためには、記憶の薄れかけたころにふたたび学ばねばなりません。「学びてときに之を習う」の大切さを、噛みしめたいと思います。


博く学んで篤く志し

 子張第十九(472~496)

477 子夏曰。博学而篤志。切問而近思。仁在其中矣。

(訓)子夏曰く、博く学んで篤く志し、切に問いて近くに思う。仁、其の中に在り。

(新)子夏曰く、博く学んで熱心に理想を追い、切実な疑問を捕えて自身のこととして思案をこらす。学問の目的とする仁は、その中から自然に現れてくる。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 朱子の『近思録』はこれがもとネタ。いいなあ。センスがよくてうらやましいなあ。


 身近な問題を解決できずに、なにが天下国家だ。という感覚には共感できますが、逆に身近な問題に拘泥することが眼を眩ましてしまうこともあるのではないでしょうか。だからこそ、博く学ぶことで小利小功を乗り越えることができるのでしょうねえ。