蜀犬 日に吠ゆ

2010-06-11

[][][][]子張第十九を読む(その10) 19:28 はてなブックマーク - 子張第十九を読む(その10) - 蜀犬 日に吠ゆ

吾が友の張や、能くし難きを為す

 子張第十九(472~496)

486 子游曰。吾友張也。為難能也。然而未仁。

(訓)子游曰く、吾が友の張や、能くし難きを為す。然れども未だ仁ならず。

(新)子游曰く、私の兄弟弟子の子張は、人の出来ないことをやってみせる。しかし最上の人格者、仁者と言おうとすればまだ不足がある。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 まあ孔夫子を基準にしたら誰でも不足でしょうけれども、このライバル意識の強さは、ただごとではない。子貢はこうした個性を、角を矯めることを避けて自由にさせたのでしょうけれど、何も論語に載せなくても。



堂堂たるかな、張や

 子張第十九(472~496)

487 曾子曰。堂堂乎張也。難与並為仁矣。

(訓)曾子曰く、堂堂たるかな、張や。与に並んで仁を為し難し。

(新)曾子曰く、子張は態度が堂々として立派なものだ。しかし一緒に修養に励みたいとは思わぬ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 前章を読んで、これはてっきり孔子教団の正統を継いだ曾子が、ライバルを遠回しに批判するためお互いの確執を論語に載せたのではないかと疑いましたが、曾子の悪行もきっちり採録されているんですね。春秋の筆法、畏るべし。

*鄭注に「子張は容儀は盛んだが仁道に薄かったからだ」という。

金谷治『論語』岩波文庫

 とありますが、本当かどうかは分かりません。むしろ、堂々とした子張のそばでは小仁などかすんでしまうからなあ、というイヤミなのかもしれません。イケメンは得しやがって、くらいのひがみ。