蜀犬 日に吠ゆ

2010-06-22

[][][][]堯曰第二十を読む(その2) 20:16 はてなブックマーク - 堯曰第二十を読む(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

五美を尊び、四悪を屏く

 堯曰第二十(497~499)

498 子張問於孔子曰。何如斯可以従政矣。子曰。尊五美。屏四悪。斯可以従政矣。子張曰。何謂五美。子曰。君子恵而不費。労而不怨。欲而不貪。泰而不驕。威而不猛。子張曰。何謂恵而不費。子曰。因民之所利而利之。斯不亦恵而不費乎。択乎労而労之。又誰怨。欲仁而得仁。又焉貪。君子無衆寡。無小大。無敢慢。斯不亦泰而不驕乎。君子正其衣冠。尊其瞻視。儼然人望而畏之。斯不亦威而不猛乎。子張曰。何謂四悪。子曰。不教而殺。謂之虐。不戒視成。謂之暴。慢令致期。謂之賊。猶之与人也。出納之吝。謂之有司。

(訓)子張孔子に問うて曰く、何如なれば斯に以て政に従うべきか。子曰く、五美を尊び、四悪を屏(しりぞ)くれば、斯に以て政に従うべし。子張曰く、何をか五美と謂う。子曰く、君子は恵んで費さず。労して怨まれず。欲して貪らず。泰にして驕らず。威あって猛からず。子張曰く、何をか恵んで費さずと謂う。子曰く、民の利とする所に因ってこれを利す。斯れ亦た恵んで費やさざるにあらずや。労すべきを択んでこれを労す。又た誰をか怨まん。仁を欲して仁を得。又た焉んぞ貪らん。君子は衆寡となく、小大となく、敢えて慢(あなど)るなし。斯れ亦た泰にして驕らざるにあらずや。君子は其の衣冠を正しくし、其の瞻視を尊(たか)くす。儼然として人望んでこれを畏る。斯れ亦た威あって猛からざるにあらずや。子張曰く、何をか四悪と謂う。子曰く、教えずして殺す、これを虐と謂う。戒めずして成るを視る、これを暴と謂う。令を慢(みだ)りにして期を致す、これを賊と謂う。これを猶(ひと)しく人に与うるなり。出納の吝かなる、これを有司という。

(新)子張が孔子に問うて曰く、何如にしたならば政治をうまく運用することができましょうか。子曰く、五つの善事に心掛け、四つの悪事に注意すれば、政治を運用するに有効です。子張曰く、五つの善事とは何々でしょうか。子曰く、為政者として、恩恵を与えるが浪費にならない。労働させるが怨まれない。欲望をみたしても貪欲にならない。自信がありながら謙虚にする。威厳があるが怖がられない。子張曰く、それらはどういう意味なのでしょうか。子曰く、人民が価値ありと思う所へ予算をつぎこむ。そうすれば恩恵を与えるが浪費にならない。労働する価値のある工事を択んで人民を使役すると、誰も怨む者がない。仁政を行おうと欲して仁政の名を得たからには、もうその上に望む何物もない。為政者たる者は人民の衆寡を論ぜず、土地の大小を問うなく、誰をも軽視することはない。これは自信がありながら謙虚だからであると言えよう。次に為政者たる者は、服装をきちんと整え、その顔色を正しくして、離れた所から見ると儼然とおごそかであって、尊敬の念を起こさせる。これは威厳があるが恐くはないと言えよう。子張が更に尋ねた、四つの悪事とはどういうことでしょうか。子曰く、教育しないでおいて悪いことをすれば死刑に処する。これを虐政という。放任しておいて成績をやかましく言う。これを暴政という。ゆっくり命令を出しておいて、実施を急がせる。これをだまし打ちという。官物を支給するのを自分の私物を与えるような顔をして、出来るだけ値切る。これを官僚主義という。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 冷静に考えると怒りがわくので、「孔子いいこと言うなあ」ぐらいにしておきます。