蜀犬 日に吠ゆ

2010-07-22

[][][]古今和歌集を読む 夏歌(その3) 21:04 はてなブックマーク - 古今和歌集を読む 夏歌(その3) - 蜀犬 日に吠ゆ

夏歌

   題しらず   よみ人しらず


137 さ月まつ山郭公 うちはぶき今も鳴かなん こぞのふるごゑ

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

137 一二さ月を自分の季節として待つ山郭公よ。 三羽を振って。 四さ月にならない今でも鳴いてほしいなあ。 五去年の、聞きなれたあの声で。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 これも「山郭公」は「やまほととぎす」ですね。「てっぺんかけたか」。皐月を待たずにもう来てほしい、というのは、ホトトギスに鳴いてもらって皐月がくると、なにかいいことあるのでしょうか。



夏歌

     伊勢


138 五月こば鳴きもふりなん 郭公 まだしき程のこゑをきかばや

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

138 二鳴く声も耳なれて古くなってしまうだろう。 四五まだその時節でないころの、鳴きなれない声が聞きたいなあ。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 前の歌での推理は大ハズレ。どうやら、ホトトギスは五月になるまでどこかで鳴く練習をしているというイメージがありそうですね。だけど、そんなよそ行きのではなくて、飾らない鳴き声も聞いてみたいなあ、ということですか。


夏歌

     よみ人しらず


139 さつきまつ花たちばなの香をかげば 昔の人の袖の香ぞする

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

139 一→一三七。 三香をかいだところが。 四五花たちばなの香に、ふと昔なじみの人の袖の香を感じてはっとしている気持ちのもの。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 春は「梅の香」が袖につく歌がつづけて採られていましたが、夏はたちばなの香がしますか。「梅の香せんべい」というのはありますが、「橘」は…「柑橘系」の香なのでしょうかねえ。また歳時記を引きます。

橘の花

 花橘

 南国に多い木で、古来実よりも花の薫香を賞美されて詩歌によく詠まれて来た。枝が多く、葉は深く茂り、初夏になると、その間に白い花が咲き、芳香が高い。

新潮社編『俳諧歳時記 夏』新潮文庫

 柑橘系の、実の香は想像できますが、花はちょっとわからんですねえ。しかし橘の香りが初夏の訪れを知らせるということが分かりました。


夏歌

     よみ人しらず


140 いつのまにさ月きぬらん あしひきの山郭公今ぞ鳴くなる

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

140 一二ほととぎすの声を聞いて、いつのまに五月が来たのだろうと、驚いている気持ち。 三「山」にかかる枕詞。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 「あしひきの山」は有名ですね。由来は知りませんが。いよいよ郭公も鳴いて五月が到来! どうしてみんな卯月のことを歌に詠まないんでしょうね?