蜀犬 日に吠ゆ

2010-07-23

[][][]古今和歌集を読む 夏歌(その4) 19:08 はてなブックマーク - 古今和歌集を読む 夏歌(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

夏歌


141 けさ来鳴きいまだ旅なる郭公 花たちばなにやどは借らなん

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

141 二まだ住所が定まっていない意でいう。 四五宿所は、わが家の花たちばなに借りて定着してほしいなあ

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 ホトトギスも飛んできて、いよいよ夏本番という感じになってきました。よっぽど好きなのですね。そして、うちの花たちばなにホトトギスがついてくれるといいのに、とねがいます。梅に鶯のように、ホトトギスは橘につきものなのでしょうか。

 これも、「なんでうちの橘にぜんぜんホトトギスがよりつかんのだ。おかしい」という言いがかりにも見えます。


夏歌

   音羽山をこえける時に郭公のなくをきゝて

   よめる         きのとものり


142 音羽山けさこえくれば 郭公こずゑはるかに今ぞ鳴くなる

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

142 音羽山―京都から近江に出る道に当る。 二今朝越えて来たところが。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 音羽山をこえて京都と近江と、どちらからどちらへ向かっていたのか。それによって心情が変わってきてしまうと思います。いま、場合わけして解釈します。

  1. 京から近江へ
    • みやこを離れて近江へ向かう音羽の山でホトトギスを聞いたよ。
    • みやこへはまだ来ていなかったホトトギスの声が聞こえるとは、なんとも遠くまで来てしまったことよ。
  2. 近江から京へ
    • みやこへ帰る途中、音羽の山でホトトギスが鳴くよ。
    • さすが都はスマートだ。泥くさい田舎とはちがって辺境の音羽の山でも風情ある声の聞こえることよ。
  3. どちらでも成り立つ解釈
    • 旅を続けて音羽の山で、ホトトギスが鳴いているよ。
    • ああ、長い旅路で忘れていたが、もうすっかり夏なのであるわなあ。ホトトギスの声でいま気付いた。

 と、並べてみると、「今ぞ鳴くなる」は三番目の解釈がありそう。