蜀犬 日に吠ゆ

2010-07-24

[][][]古今和歌集を読む 夏歌(その5) 21:05 はてなブックマーク - 古今和歌集を読む 夏歌(その5) - 蜀犬 日に吠ゆ

夏歌

   ほとゝぎすのはじめて鳴きけるをきゝて   そせい


143 ほとゝぎす初声きけば あぢきなく ぬしさだまらぬ恋せらるはた

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

143 二初声を耳にしたところが。 五「はた」は、初声の聞けたのはうれしいが、一方では、という気持。第三句の前に置くべきものの倒置。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 これは、一句二句のありきたりの風景を「あぢきなく」でビックリさせて、あとから種明かしするテクニックですね。

 「ぬしさだまらぬ恋」をさせられている(のか?)身としては、ホトトギスの声の感動も、素直に喜べないなあ。という、これもひねくれた歌ですね。


夏歌

   ならの石上寺(いそのかみでら)にて郭公のなくをよめる


144 石上(いそのかみ)ふるき宮この郭公 こゑばかりこそ昔なりけれ

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

144 石上寺―良因院。素性法師が住持。 一二安康天皇や仁賢天皇の都の地。 四五昔のままのものは郭公の声だけ、という嘆き。

佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫

 「ふるき宮こ」なのですね。はじめ「この郭公」と読んで意味不明でした。

 しかし素性法師、寂しいのはいいとしてもホトトギスの声を聞いて往時を偲び、「昔はこっちが都だったんだぞ」は言い過ぎのような気もします。