蜀犬 日に吠ゆ

2010-09-14

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 オビ(ハカマ)に

論語を

ダシに

奇人変人

作家仲間を

独特の

文章で綴る

名随筆。

阿川弘之『論語知らずの論語読み』講談社文芸文庫

 そして、巻末解説が高島俊男先生で案の定の悪口! 大変おもしろく読ませていただきました。

論語知らずの論語読み (講談社文芸文庫)

論語知らずの論語読み (講談社文芸文庫)

 「第三の新人」などといってもピンと来ませんが、こうして実際作品に触れてみると、しょっちゅう電話したり食事をしたり、お互いに噂話をしたりしていたのですねえ。だいたい仇名で出てくる人たちの名を、高島先生が補ってくれています。

論語と孔子

 町田の大家さんは、最終章にいたって「遠藤周作」と本名が出てくる。

 本屋の赤門堂は、高知高校卒とあること、カソリックであることなどより見て、三浦朱門さんである。

 上野毛のご隠居は、麻布中学卒とあること、それにこの本にのべられてある言行のかずかずより見て、吉行淳之介さんであろう。

 万峯楼の若旦那は、この人に対する吾川先生のことばとして、「佐藤佐太郎さんの『童馬山房随聞』という本に、君のことが、本名で何度も出て来る。斎藤茂吉は、君が可愛くて仕方がなかったんだ」とある。すなわち該書に次男宗吉として何度も出て来る北杜夫さんである。その他この人は、「医者の免状を持っている」「大躁病」「目下発狂中」等、その人を思わせるところがあちこちにある。

 これらの人たちは、当の阿川先生も含め、みな昭和二十年代の後半に文壇に登場した「第三の新人」と呼ばれる作家たちである(もっとも北杜夫さんは「第三の新人」にかぞえないらしいが)。おおむね大正後半の生れ、昭和十年前後に中学生であった年ごろである。阿川先生と吉行淳之介さんは軍隊経験がある。

 この第三の新人のほかに、『論語』の指南役として二信亭田句馬先生という人が出てくる。これは中国文学者の駒田信二さんである。「二信亭」は「信二」をひっくり返して「亭」をつけたもの、「田句馬」は「駒田」をひっくり返してもじったものである。

阿川弘之『論語知らずの論語読み』講談社文芸文庫

 他にもいくらか仇名で登場する人がいますが、まあそういう人たちとのだべりを論語にこじつける、おもしろい随筆でした。