蜀犬 日に吠ゆ

2010-09-21

[][][]孫子を読む 計篇(その3) 20:00 はてなブックマーク - 孫子を読む 計篇(その3) - 蜀犬 日に吠ゆ

兵とは詭道なり

計篇

兵者詭道也、故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之、攻其無備、出其不意、此兵家之勝、不可先傳也

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 兵とは詭道なり。故に、能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれを遠きに示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓(みだ)し、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。其の無備を攻め、其の不意に出ず。此れ兵家の勢、先きには伝うべからざるなり。


 戦争とは詭道――正常なやり方に反したしわざ――である。それゆえ、強くとも敵には弱く見せかけ、勇敢でも敵にはおくびょうに見せかけ、近づいていても敵には遠く見せかけ、遠方にあっても敵には近く見せかけ、(敵が)利を求めているときはそれを誘い出し、(敵が)混乱しているときはそれを奪い取り、(敵が)充実しているときはそれに防備し、(敵が)強いときはそれを避け、(敵が)怒りたけっているときはそれを疲労させ、(敵が)親しみあっているときはそれを分裂させて、敵の無備を攻め、敵の不意をつくのである。これが軍学者のいう勢であって、(敵情に応じての処置であるから、)出陣前にはあらかじめ伝えることのできないものである。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 だとすると、出陣の時には各部隊の長にはいったいどういう説明をするのでしょうね。戦闘の目的と、撤退のタイミングくらいを合わせておいて、あとは敵に応じて行き当たりばったりということ?

孫子 (1963年) (岩波文庫)

孫子 (1963年) (岩波文庫)


 しかしこういうのは、マネジメント理論などと同じで相手もおなじ手法をとってきたらどうするのか、司馬仲達と諸葛孔明みたいに延々戦いつづけることになってしまう、という点で、技術論ではあっても哲学ではない。孟子のように、戦争などしなくても他国の民が王をしたって集まってくる、というほうが優れています……もちろん、実現できればの話ですけど! 理想論ですけど!