蜀犬 日に吠ゆ

2010-09-27

[][][]孫子を読む 謀攻篇(その1) 20:42 はてなブックマーク - 孫子を読む 謀攻篇(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり

謀攻篇

孫子曰、凡用兵之法、全國爲上、破國次之、全軍爲上、破軍次之、全旅爲上、破旅次之、全卒爲上、破卒次之、全伍爲上、破伍次之、是故百戰百勝、非善之善者也、不戰而屈人之兵、善之善者也、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。軍を全うするを上と為し、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上と為し、旅を破るはこれに次ぐ。卒を全うするを上と為し、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上と為し、伍を破るはこれに次ぐ。是の故に百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずし人の兵を屈するは善の善なる者なり。


 孫子はいう。およそ戦争の原則としては、敵国を傷つけずにそのままで降服させるのが上策で、敵国を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。軍団を無傷でそのまま降服させるのが上策で、軍団を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。旅団を無傷でそのまま降服させるのが上策で、旅団を討ち破って屈服させるのはそれに劣る。大隊を無傷でそのまま降服させるのが上策で、大隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。小隊を無傷で降服させるのが上策で、小隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。こういうわけだから百たび戦闘して百たび勝利を得るというのは、最高にすぐれたものではない。戦闘しないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 大切なのは、「全うする」のは敵の国であり、軍団であるということです。敵を倒さずして勝つ、というのを理想とする戦略があって、「やむをえず戦闘する」という戦術がありうるので、初めから戦闘する気で戦端を開くのでは戦略も何もない、戦争と言うより命がけのばくち然としてしまうのです。

孫子 (1963年) (岩波文庫)

孫子 (1963年) (岩波文庫)