蜀犬 日に吠ゆ

2010-10-03

[][][]孫子を読む 形篇(その1) 19:02 はてなブックマーク - 孫子を読む 形篇(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

勝つべからざるは己れに在るも、勝つべきは敵に在り

形篇

孫子曰、昔之善戰者、先爲不可勝、以待敵之可勝、不可勝在己、可勝在敵、故善戰者、能爲不可勝、不能使敵之可勝、故曰、而不可爲、不可勝者、守也、可勝者、攻也、守則不足、攻則有餘、善守者、藏於九地之下、善攻者、動於九天之上、故能自保而全勝也、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 孫子曰わく、昔の善く戦う者は先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるは己れに在るも、勝つべきは敵に在り。故に善く戦う者は、能く勝つべからざるを為すも、敵をして必らず勝つべからしむること能わず。故に曰わく、勝つは知るべし、而して為すべからずと。勝つべからざる者は守なり。勝つべき者は攻なり。守は則ち足らざればなり、攻は則ち余り有ればなり。善く守る者は九地の下に蔵(かく)れ、善く攻むる者は九天の上に動く。故に能く自ら保ちて勝を全うするなり。


 孫子はいう。昔の戦いに巧みな人は、まず(身方を固めて)だれにもうち勝つことのできない体制を整えたうえで、敵が(弱点をあらわして)だれでもがうち勝てるような態勢になるのを待った。だれにもうち勝つことのできない態勢(を作るの)は身方のことであるが、だれもが勝てる態勢は敵側のことである。だから、戦いに巧みな人でも、(身方を固めて)だれにもうち勝つことのできないようにすることはできても、敵が(弱点をあらわして)必らずだれでもが勝てるような態勢にさせることはできない。そこで、「勝利は知れていても、それを必らずなしとげるわけにはいかない。」といわれるのである。だれにもうち勝てない態勢とは守備にかかわることである。だれでもがうち勝てる態勢とは攻撃にかかわることである。守備をするのは(戦力が)足りないからで、攻撃をするのは十分の余裕があるからである。守備の上手な人は大地の底の底にひそみ隠れ、攻撃の上手な人は天界の上の上で行動する。(その態勢をあらわさない。)だから身方を安全にしてしかも完全な勝利をとげることができるのである。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 こちらの戦力が整っていても、相手もそうなら決着はつかない、ということは分かりづらいんですよね。当事者の中では。