蜀犬 日に吠ゆ

2010-10-08

[][][]孫子を読む 勢篇(その1) 19:51 はてなブックマーク - 孫子を読む 勢篇(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

衆を治むること寡を治むるが如く

勢篇

孫子曰、凡治衆如治寡、分數是也、鬭衆如鬭寡、形名是也、三軍之衆、可使必受敵而無敗者、奇正是也、兵之所加、如以碬投卵者、虛實是也、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 孫子曰わく、凡そ(兵を用うるに、)衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり。三軍の衆、必らず敵に受(こた)えて敗なからましむべき者は、奇正是れなり。兵の加うる所、碫(たん)を以て卵に投ずるが如くなる者は、虚実是れなり。


 孫子はいう。およそ(戦争に際して、)大勢の兵士を治めていてもまるで小人数を治めているように(整然と)いくのは、部隊の編成がそうさせるのである。大勢の兵士を戦闘させてもまるで小人数を戦闘させているように(整然と)いくのは、旗や鳴り物などの指令の設備がそうさせるのである。大軍の大勢の兵士が敵の出かたにうまく対応して決して負けることのないようにさせることができるのは、変化に応じて処置する奇法と定石どおりの正法と(の使い分け)がそうさせるのである。戦争が行われるといつもまるで石を卵にぶつけるように(たやすく敵をうちひしぐことの)できるのは、(充実した軍隊ですきだらけの敵をうつ)虚実の運用がそうさせるのである。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 石と卵の譬喩。

 しかし、冷静に読んでみると『孫子』というのはあんまり面白くないですね。「部隊の編成をきちんとして、大人数でも整然と動かすのである」とか言われても「ああそうですね」くらいの感想しかない。理論書なので、たとえ話とかエピソードも引用されませんしねえ。

 魏武注もそうで、例えば「奇正是なり」の注は

勢篇

 曹操 まず正攻法で敵軍と衝突し、それによって敵軍主力の動きを止めてから、奇策によって敵陣の弱点を奇襲するのである。

中島悟史『曹操注解 孫子の兵法』朝日文庫

 「ああ、それなら勝てますね」。なんといいますか、この割り切れない感。