蜀犬 日に吠ゆ

2010-10-11

[][][]孫子を読む 勢篇(その4) 19:20 はてなブックマーク - 孫子を読む 勢篇(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

乱は治に生じ

勢篇

亂生於治、怯生於勇、弱生於彊、治亂數也、勇怯勢也、彊弱形也、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 乱は治に生じ、怯は勇に生じ、弱は強に生ず。治乱は数なり。勇怯は勢なり。強弱は形なり。


 混乱は整治から生まれる。おくびょうは勇敢から生まれる。軟弱は剛強から生まれる。(それぞれに動きやすく、互いに移りやすいものである。そして、)乱れるか治まるかは、部隊の編成――分数――の問題である。おくびょうになるか勇敢になるかは、戦いのいきおい――勢――の問題である。弱くなるか強くなるかは、軍の態勢――形――の問題である。(だから、数と勢と形に留意してこそ、治と勇と強とが得られる。)

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 乱治に関して、魏武注

勢篇

曹操 各部隊の役割を定め、芝居の演技のように、全体のシナリオの中で、それぞれの部分で力量を発揮させる。綿密に計画され、分担された戦術であり、外見は混乱を装っていても、整然とした作戦行動に基づいているのである。

中島悟史『曹操注解 孫子の兵法』朝日文庫

 「乱生於治」を、(よい)乱は治に生ずる、と読むわけですね。混乱した様子を見せているようでも、将帥の統率が利いている状態をつくり出すのだ、と。

 となれば、勇怯・強弱への魏武注も

勢篇

曹操 臨機応変に全軍の集中力を増幅したり、一瞬にして作戦行動を変化させ、戦術を入れ替えることだ。

中島悟史『曹操注解 孫子の兵法』朝日文庫

 とあり、勇怯は作戦の積極消極、強弱は戦力の集中分散のことでしょうか? 戦闘中の臨機応変が勢であり、形の要点であるということでしょう。