蜀犬 日に吠ゆ

2010-10-14

[][][]孫子を読む 虚實篇(その1) 20:18 はてなブックマーク - 孫子を読む 虚實篇(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

先きに戦地に処りて敵を待つ者は佚し

虚實篇

孫子曰、凡先處戰者佚、後處戰地、而趨戰者勞、故善戰者、致人而不致於人、能使敵人自至者、利之也、能使敵人不得至者、害之也、故敵佚能勞之、飽能饑之、安能動之、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 孫子曰わく、凡そ(兵を用うるに、)先きに戦地に処りて敵を待つ者は佚(いつ)し、後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。能く敵人をして自ら至らしむる者はこれを利すればなり。能く敵人をして至るを得ざらしむる者はこれを害すればなり。故に敵 佚すれば能くこれを労し、飽けば能くこれを饑えしめ、安んずれば能くこれを動かす。


 孫子はいう。およそ(戦争に際して、)先きに戦場にいて敵の来るのを待つ軍隊は楽であるが、後から戦場について戦闘にはせつける軍隊は骨がおれる。(これが実と虚である。)だから、戦いに巧みな人は、(自分が主導権を握って実に処り)あいてを思いのままにして、あいての思いどおりにされることがない。敵軍を自分からやって来るようにさせることのできるのは、利益になることを示して誘うからである。敵軍を来られないようにさせることのできるのは、害になることを示してひきとめるからである。だから、敵が(よく休息をとって)安楽でおればそれを疲労させることができ、(兵糧が十分で)腹いっぱいに食べていればそれを飢えさせることができ、安静に落ちついていればそれを誘い出すこともできるのである。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫