蜀犬 日に吠ゆ

2010-10-15

[][][]孫子を読む 虚實篇(その2) 19:06 はてなブックマーク - 孫子を読む 虚實篇(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

微なるかな微なるかな、無形に至る

虚實篇

出其所不趨、趨其所不意、行千里而不勞者、行於無人之地也、攻而必取者、攻其所不守也、守而必固者、守其所不攻也、故善攻者、敵不知其所守、善守者、敵不知其所攻、微乎微乎、至於無形、神乎神乎、至於無聲、故能爲敵之司命、

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫

 其の必らず趨く所に出で、其の意(おも)わざる所に趨き、千里を行いて労(つか)れざる者は、無人の地を行けばなり。攻めて必らず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必らず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり。故に善く攻むる者には、敵 其の守る所を知らず。善く守る者には、敵 其の攻むる所を知らず。微なるかな微なるかな、無形に至る。神なるかな神なるかな、無声に至る。故に能く敵の司命を為す。


 敵がきっとはせつけて来るような所に出撃し、敵の思いもよらない所に急進し、(そのようにして)遠い道のりを行軍して疲れないというのは、(敵の間隙をぬって)敵対する者のない土地を行軍するからである。攻撃したからにはきっと奪取するというのは、敵の守備していない所を攻撃するからである。守ったからにはきっと堅固だというのは、敵の攻撃しないところを守るからである。攻撃の巧みな人には、敵はどこを守ったらよいのか分からず、守備の巧みな人には、敵はどこから攻めたらよいのか分からない。微妙、微妙、最高は無形だ。神秘、神秘、最高は無音だ。そこで敵の運命の主宰者になることができるのだ。

金谷治訳注『孫子』 岩波文庫