蜀犬 日に吠ゆ

2011-02-28

[][][]フランク・レンウィック 小林章夫『とびきり哀しいスコットランド史』ちくま文庫 21:39 はてなブックマーク - フランク・レンウィック 小林章夫『とびきり哀しいスコットランド史』ちくま文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 原題は、『SCOTLAND, BLOODY SCOTLAND』。スコットランドの中心を占めるスコット人は、かつてケルトを追い出したくらいで、あとはいいところなし。ヨーロッパ国際社会で一角を占めたり、ステュアート家がイングランドに王を出したりとしたものの、まあ十字軍の英雄だの啓蒙専制君主だのといった華やかさを欠き、忠誠の野蛮国、近代の行進国。でもそれを、自虐をユーモアに含めつつ歴史を通覧できるように叙述された良書。私の、歴史を斜めに見る目は、結構この本に影響されているかも知れないです。原文はわかりませんが、訳文の軽やかさに憧れています。

 以後、関係ない話。

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[][][][]ウケル小説~~カート・ヴォネガット 飛田茂雄『ヴォネガット、大いに語る』ハヤカワ文庫 20:46 はてなブックマーク - ウケル小説~~カート・ヴォネガット 飛田茂雄『ヴォネガット、大いに語る』ハヤカワ文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 どうでもいいことを。

ヴォネガット、大いに語る (ハヤカワ文庫SF)

ヴォネガット、大いに語る (ハヤカワ文庫SF)

 原題は、『WAMPETERS, FOMA AND GRANFALLOONS』。これはすべてヴォネガットの造語です。彼のSF小説『猫のゆりかご』に出てくる架空の宗教の用語で、それぞれの意味は、はしがきに解説されています。が、小説を読まないと意味はつかめないでしょうね。こうした独特な世界観自体の説明が、『猫のゆりかご』の内容なのですから。

はしがき

 この『ヴォネガット大いに語る』の原題はWampeters, Foma & Granfalloons で、これはわたしの小説『猫のゆりかご』に出てくる三つの語から成り立っています。最初のwampeter というのは、もともと無縁だった多くの人々がそれを中心としていっしょに回転しはじめるもの。アーサー王伝説の聖杯がそれに当たるでしょう。つぎのfoma は、純朴な人々を慰めるために語る無害なうそのかずかず。たとえば、「繁栄はすぐそこまで近づいている」(大不況時代にフーヴァー大統領が言った)のたぐいです。おしまいのgranfalloon は、人々が結成する、自尊心に満ちた、意味のない協会のたぐいです。おその三つを組み合わせれば、わたしが書いた批評とエッセーの一部、それと、いくつかの講演を集めたこの本にとって、なによりの傘になるでしょう。

ヴォネガット『ヴォネガット大いに語る』ハヤカワ文庫

 フォーマについては、わたしもキーワード化しました。あと、カンカンとかね。

猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)

猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)

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2011-02-14

[][][]小なる章を読む(その18) 「一一、ラーフラ」 22:26 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その18) 「一一、ラーフラ」 - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

尊敬

第二 小なる章

一一、ラーフラ

三三五 (師(ブッダ)がいった)、「ラーフラよ。しばしばともに住むのに慣れて、お前は賢者を軽蔑するのではないか? 諸人のために炬火をかざす人を、汝は尊敬しているか?」

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

註。ラーフラ。

一一、ラーフラ

 ラーフラ――釈尊が故郷カピラヴァットゥへ帰ったときに一子ラーフラを出家せしめ、成年に達したときにサーリプッタがかれに完備した戒律を授けたという。ところでラーフラは生まれ(jati)が良かったことなどの故に、サーリプッタを軽蔑する傾きがあったという。開祖の実子であるという気持が、かれをしてつけ上がらせたのであろう。そこで次の対話が伝えられている。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 まあ普通慢心しますよね。そこですかさず釘を刺しておくブッダ。

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2011-02-13

[][][]小なる章を読む(その17) 「一〇、精励」 19:04 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その17) 「一〇、精励」 - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

尊敬

第二 小なる章

一〇、精励

三三一 起てよ、坐れ。眠って汝らになんの益があろう。矢に射られて苦しみ悩んでいる者どもは、どうして眠られようか。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

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2011-02-12

[][][]小なる章を読む(その16) 18:51 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その16) - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

驕りを除去し、しっかりとした態度で行え

第二 小なる章

九、いかなる戒めを

三二八 笑い、だじゃれ、悲泣、嫌悪、いつわり、詐欺、貪欲(とんよく)、高慢、激昂(げきこう)粗暴なことば、汚濁、耽溺をすてて、驕りを除去し、しっかりとした態度で行え。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 だじゃれって、駄目なのか。

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2011-02-09

[][][]小なる章を読む(その15) 「九、いかなる戒めを」 18:50 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その15) 「九、いかなる戒めを」 - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

いかなる戒めを守り

第二 小なる章

九、いかなる戒めを

三二四 いかなる戒めを守り、いかなる行いをし、いかなる行為を増大せしめるならば、ひとは正しく安立し、また最上の目的を達し得るのであろうか。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

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2011-02-08

[][][]インターネットの現実~~安良岡康作『徒然草』旺文社 19:33 はてなブックマーク - インターネットの現実~~安良岡康作『徒然草』旺文社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 なかよしの人たちとだけお話ししていたくても、そういうわけにはいかない。

第十二段

 同じ心ならん人としめやかに物語して、をかしき事も、世のはかなき事も、うらなく言ひ慰まんこそうれしかるべきに、さる人あるまじければ、つゆ違はざらんと向ひゐたらんは、ひとりある心地やせん。

 たがひに言はんほどの事をば、「げに」と聞くかひあるものから、いさゝか違(たが)ふ所もあらん人こそ、「我はさやは思ふ」など争ひ憎み、「さるから、さぞ」ともうち語らはば、つれ\゛/慰まめと思へど、げには、少しかこつ方(かた)も我と等しからざらん人は、大方のよしなし事言はんほどこそあらめ、まめやかの心の友には、はるかに隔たる所のありぬべきぞ、わびしきや。

安良岡康作『徒然草』旺文社

 この、「「我はさやは思ふ」など争ひ憎み」、「自分はそうは思わない」などと言い争い憎しみあう、というのが、今や世界中でできるようになってしまい、「心の友」などとつき合っている暇などないくらいになってしまいました。かなすーなあ。

徒然草 (対訳古典シリーズ)

徒然草 (対訳古典シリーズ)

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[][][]小なる章を読む(その13) 18:42 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その13) - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

暗闇の中で灯火をかかげるように

第二 小なる章

七、バラモンにふさわしいこと

 このように説かれたときに、大富豪であるバラモンたちは、師にいった、

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 バラモンの堕落で屠られる牛。牛肉は食べなくても、儀式の犠牲にはしたんですね。

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2011-02-04

[][][]小なる章を読む(その12) 19:43 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その12) - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

欲望に支配されるに至った

第二 小なる章

七、バラモンにふさわしいこと

三一〇 刃が牛に落ちるや、そのとき神々と祖霊と帝釈天と阿修羅と羅刹たちは、「不法なことだ!」と叫んだ。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 バラモンの堕落で屠られる牛。牛肉は食べなくても、儀式の犠牲にはしたんですね。

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2011-02-03

青木健『マニ教』講談社選書メチエ 21:27 はてなブックマーク - 青木健『マニ教』講談社選書メチエ - 蜀犬 日に吠ゆ

 うーむ。結構衝撃的な内容。

マニ教 (講談社選書メチエ)

マニ教 (講談社選書メチエ)

 裏表紙に「ゾロアスター・イエス・仏陀の思想を綜合し、古代ローマ帝国から明代中国まで東西両世界に流布しながら今や完全に消失した「第四の世界宗教」」とあって、わたしの認識もそうだったのですが、この記述は正確ではなかった! ということは編集者は原稿を読まずにこの説明文を書いたのでしょうか。

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[][][]小なる章を読む(その11) 22:28 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その11) - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

欲に溺れて、さらに欲念が増長した

第二 小なる章

七、バラモンにふさわしいこと

三〇三 そこで戦車兵の主である王は、バラモンたちに勧められて、――馬の祀り、人間の祀り、擲棒(なげぼう)の祀り、ヴァージャペッヤの祀り、誰にでも供養する祀り、――これらの祀りを行なって、バラモンたちに財を与えた。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 うまいことやりましたね。

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