蜀犬 日に吠ゆ

2011-02-03

[][][]小なる章を読む(その11) 22:28 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その11) - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

欲に溺れて、さらに欲念が増長した

第二 小なる章

七、バラモンにふさわしいこと

三〇三 そこで戦車兵の主である王は、バラモンたちに勧められて、――馬の祀り、人間の祀り、擲棒(なげぼう)の祀り、ヴァージャペッヤの祀り、誰にでも供養する祀り、――これらの祀りを行なって、バラモンたちに財を与えた。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 うまいことやりましたね。

第二 小なる章

七、バラモンにふさわしいこと

三〇四 牛、臥具、衣服、盛装化粧した女人、またよく造られ駿馬に牽かせる車、美しく彩られた縫物――、


三〇五 部分ごとによく区画されている美事な邸宅に種々の穀物をみたして、(これらの)財をバラモンたちに与えた。


三〇六 そこでかれらは財を得たのであるが、さらにそれを蓄積することを願った。かれらは欲に溺れて、さらに欲念が増長した。そこでかれらはヴェーダの呪文を編纂して、再び甘蔗王に近づいた。


三〇七 「水と地と黄金と財と穀物とが生命あるひとびとの用具であるように、牛は人々の用具である。祭祀を行いなさい。あなたの富は多い。祭祀を行いなさい。あなたの財産は多い。」


三〇八 そこで戦車兵の主である王は、バラモンたちに勧められて、幾百千の多くの牛を犠牲のために屠らせた。


三〇九 牛は、脚を以ても、角を以ても、何によっても決して(他のものを)害(そこな)うことがなくて、羊に等しく柔和で、瓶をみたすほど乳を搾らせてくれる。しかるに王は、角をとらえて、刃を以てこれを屠らせた。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 やりたい放題ですな。


 ちなみに、お祀りに関する註。

三〇三 擲棒の祀り――sammapasa(=Skrt. samyaprasa, samyaksepa)。samya とは、棒、木釘、ある祭式用具の名であり、それを投げる儀式をいう。

 ヴァージャペッヤの祀り――Vajapeyya(=Skrt. Vajapeya).ソーマ祭の一種。vajam ettha pivantiti vajapeyyo(Pj. p322).この祭では、精力と想定されるものを飲み、精力をつけると考えられていた。

 誰にでも供養する祭り――Niraggala. 漢訳仏典でいう「無遮大会」に相当する。n'atthi ettha aggalo ti niraggalo(Pj. p322). niraggala(←nis + aggala)とは、さまたげのない、範囲を制限しない、の意。'unobstructed, free, rich in result'(PTS. Dict.). ヴェーダ祭式の体系においては、特にnirargala(SDkrt.)という祭祀は存在しない。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫

 擲棒は、中国の投壺みたいな娯楽でしょうか? とにかく王様に無駄遣いさせたわけですね。