蜀犬 日に吠ゆ

2011-02-28

[][][]フランク・レンウィック 小林章夫『とびきり哀しいスコットランド史』ちくま文庫 21:39 はてなブックマーク - フランク・レンウィック 小林章夫『とびきり哀しいスコットランド史』ちくま文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 原題は、『SCOTLAND, BLOODY SCOTLAND』。スコットランドの中心を占めるスコット人は、かつてケルトを追い出したくらいで、あとはいいところなし。ヨーロッパ国際社会で一角を占めたり、ステュアート家がイングランドに王を出したりとしたものの、まあ十字軍の英雄だの啓蒙専制君主だのといった華やかさを欠き、忠誠の野蛮国、近代の行進国。でもそれを、自虐をユーモアに含めつつ歴史を通覧できるように叙述された良書。私の、歴史を斜めに見る目は、結構この本に影響されているかも知れないです。原文はわかりませんが、訳文の軽やかさに憧れています。

 以後、関係ない話。

 著者フランク・レンウィック・オヴ・レイヴンストーンはレイヴンストーン男爵の家柄です。こういう人を知っていると最近話題の「竹田恒泰」なんかとは格が違うとしかいえません。歴史観の違いで、過去の事実をどういう風に解釈するのかは多様性があるのですから書いたらいいんだよなあ。レンウィック氏は「もし僕がスコットランド史を書くなら」などと言わず、もう書いちゃったわけで、プロシュート兄貴ですよね。鳴り物入りの『国民の歴史』とか『新しい歴史教科書』の末路を見るに、彼我の差を感じずにはいられません。このレンウィック『スコットランド史』は、面白い。面白い日本史はまだなのでしょうか。