蜀犬 日に吠ゆ

2011-05-23

[][][][][]夏のうた を読む(その1419:26 はてなブックマーク - 夏のうた を読む(その14) - 蜀犬 日に吠ゆ

27

 朝(あした)に紅顔あつて世路(せろ)に誇れども

 暮(ゆふべ)に白骨となつて郊原(かうげん)に朽ちぬ     義孝少将(よしたかのしょうしょう)


 『和漢朗詠集』巻下「無常」。作者藤原義孝は平安中期の人。日本第二の美人と称えられた麗景殿女御(冷泉院の后)の夭折を嘆じた漢詩の一節という。朝には若々しい紅顔に浮世の快楽を満喫していても、夕には白骨となって郊外の原野にくちはてるのが、死すべき人間のさだめなのだと、人生無常をうたう。浄土真宗中興の祖蓮如の有名な「白骨の御文」は、この句に基づいて書かれた。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 御文はてっきり漢詩由来だと思い込んでいました。勉強になります。


28

 白珠(しらたま)は人に知られず 知らずともよし 知らずとも吾(われ)知れらば

 知らずともよし                    ある僧


 『万葉集』巻六。奈良の元興(がんごう)寺の一僧、衆にぬきんでて学問があったが頭角をあらわすことができず、かえって他の連中に馬鹿にされてばかりいた。そこでみずから嘆いてこの歌を作った、と註にある。真珠(白珠)は人に真価を知られない。知られなくてもかまいやしないさ。世間のやつらが知らなくても、自分で自分の真価を知っているなら、連中が知らなくたってかまいやしないさ。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 そうして引きこもる。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)