蜀犬 日に吠ゆ

2011-06-01

[][][][][]夏のうた を読む(その23) 19:20 はてなブックマーク - 夏のうた を読む(その23) - 蜀犬 日に吠ゆ

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 力なき蝦(かへる) 力なき蝦 骨なき蚯蚓(みみず) 骨なき蚯蚓

              催馬楽(さいばら)


 催馬楽は八世紀ごろ歌曲として唱われた民謡。外来音楽である雅楽の曲調によって在来の民謡を編曲し、貴紳が愛誦した。ひなびたものや好色的なものも含まれて興味深い。童謡と思われるものも二、三あり、右もその一つ。子どもがカエルとミミズに向かって、「やあいやあい、弱虫ガエル、骨なしミミズ」とはやしているようでもあるし、そうではなくカエルとミミズが、互いに口げんかしているようでもある。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 というか貧しい子どもをよってたかって打擲し、バカにしている風景の方が簡単に思いうかぶのです。カエルとミミズは一つところにいそうにないですから。

 あと、蝦はエビでしょうに。八世紀のことはしらんけど。


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 世の中は夢か現(うつつ)か現とも夢とも知らずありてなければ

               よみ人しらず


 『古今集』巻十八雑歌。西行は弟子に、『古今集』を読め、特に雑歌の部は熟読せよと教えたという。雑歌には実人生の嘆きや仏教的無常観を歌って心にしみる歌が多いからだ。第五句で、この世は存在していて同時に存在していないのだもの、「ありてなければ」と言っているのが目をひく。夢だからではかなく、現実だから確かだ、というような単純な物の見方を否定した所で成り立っている歌。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 「唯識」論ですかね? 私はそちらに与しない。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)