蜀犬 日に吠ゆ

2011-07-12

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第三回 胡黜児(こちゅつじ) 村裏にて貞娘(ていじょう)を閙(さわ)がし/趙大郎(ちょうたいろう) 林中に狐(きつね)の跡を尋ぬ

 今回の出だし(枕)では、狐をdis。

第三回

何と申しましても、妖となり怪をなすことの多いのは、狐にかなうものはありませぬ。この狐というもの、生まれつき口鋭く鼻尖り、頭は小さく尾は大、毛は黄色です。もっとも玄(くろ)狐白(しろ)狐というのがありますが、これは寿(よわい)永くして毛色の変わったものでございます。『玄中記』というご本を見ますと、「狐は五十歳にしてよく変化して人となり、百歳にしてよく千里の外の事を知る。千歳にしては天と相通じ、人も制する能わず。名づけて天狐という。性よく蠱惑し、変幻万端なり」とございます。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 千年は確認とってないでいってる可能性大。たぶん狐のほうの「私は千年生きて云々」という大本営発表をまんまうのみにしているのでしょう。

 日本の猫又は、百年たってようよう化けたり行灯の油をなめたりですからねえ。やはり大陸がスマートで、わが国が泥くさいってことに……

 泰西では、動物が人間に化けてだます話を、うーん、赤ずきんちゃんくらいしか知らないですね。ゼウスが動物に化けるのはイヤになるくらい見せつけられていますけど。

 で、何でわざわざそんなお狐さまが人間ふぜいをだましに来るのか。「お狐無双」とか「お狐BASARA」でヒャッハーしないのは、人間の利用価値のせいなんですって。

第三回

およそ牝の狐が男子を誘惑しようとするときは、美貌の婦人に化けまする。また牡の狐が婦人を誘惑しようとするときは、美貌の男子に化けます。これらはみな人間の陰精陽血を採って、修練を完成する助けとするものです。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 あー妖狐は房中術一択にしぼりましたか。でも正直いうと、Vulpes さん、ホモ=サピエンス=サピエンスを巻き込んでほしくなかった。ぼくらかよわいんですぅ

第三回

 さて宋の御代、年号は咸平と改元、

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 うぉい飛んだよ。春秋時代の袁公が神仙世界に入ってやらかしていたのが三国時代直後*1あたりだとすると、700年飛んだ*2


 西川の村にいた趙大郎とその妻銭氏の夫婦に牡の妖狐が目を付け、美男の書生「胡黜」に化けてちょっかいを始めます。狩りに出た先で狐が胡黜に化けるのを見た趙大郎は弓で狐の左腿を射て、後日とどめを刺そうとします。が、次の日は折悪しく雨。三日後にようやく旅立つも、血の跡などなく、一緒に来た村の仲間達から辱めを受けた次第。

 射られた狐とは、聖姑姑と名乗る老狐の子でした。矢が刺さったままで雁門山下の洞穴に帰ってきた息子の矢を引き抜くものの、重傷が命の危険を帯びてきました。

 そこで聖姑姑は、益州城*3の医師厳三点を訪ねるため、乞食婆に姿を変えて旅立つ。


 「石碑文」は、静かに時を待つ……

中国古典文学大系 (36)

中国古典文学大系 (36)

*1:魏から晋への禅譲がAD265

*2:咸平元年はAD998、アァメン

*3:成都