蜀犬 日に吠ゆ

2011-07-20

[][][][]馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社 を読む(その9の2) 21:03 はてなブックマーク - 馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社 を読む(その9の2) - 蜀犬 日に吠ゆ

第七回 楊巡検 経を迎えて聖姑に逢い/慈長老 水を汲んで異蛋を得たり

 いつも布施をくださる楊奶奶が、今年は来ない。聖姑姑が探りを入れると。

 楊家はもともと布施に熱心でしたが、あるとき托鉢する尼を屋敷に泊めたところ、これが強盗団の構成員で仲間を呼んでたくさんの物を奪いとったので布施を控えるようになったとのこと。

第七回

「出家の中には善いものもおれば悪いものもおります。悪いもののために善いものまで巻き添えになりました」

「そのとおりだ」

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 その通りなんですよねえ。


 楊巡検の門前でそんな話を門番から聞いているうち、楊巡検は出かける。哈密(ハミ)の僧侶の経典を受け取るためである。しかし誰も文字を読めないという話を聞いて聖姑姑は申し出る。自分は読めるかもしれないと。

第七回

「どんなお経ですか」

「仏経か道経か竈王経(そうおうきょう)か知ったもんじゃない。なにしろ一字も読めないんだからな」

「もし梵語ならわたしにはわかるかもしれませんよ」

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 竈王経も道教だと思うんですけどね。


 さっそく聖姑姑は瑞雲とともに菩薩の姿を楊奶奶にチラ見せして伏線を張ります。経典を授かった楊巡検が、門番から梵語を読める仙女がいると聞いて不審に思った楊巡検が妻に話してみると、ノリノリで奇瑞の話をし、聖姑姑を迎える算段、あいなります。


 聖姑姑が見て、梵字は波羅蜜多心経でした。楊夫妻の質疑にもすらすら答えた聖姑姑をすっかり信じた両人は彼女を賓客として迎えます。楊夫妻の暮らす華陰県には、楊巡検の家には活き仏がいると評判が立ちます。

第七回

理屈から申せば、もしも活き仏であるならば、どうして人に頼り、人の世話になるはずがありましょうか。やはり、めくら千人というものでございます。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 それで、見物客や弟子入り志願者がおしよせることになるわけです。楊巡検は辟易して面会謝絶とすることにし、聖姑姑は軟禁状態になります。伏線回収。

第七回

 ――則天さまの言われた「楊に逢って止まる」という文句はすでに応験があったが、さてこの「蛋に遇って明らかなり」とは、いったいどういうことであろうか。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社


 むかしむかし、あるところに、慈雲という住職がいました。慈長老と呼ばれていました。そこには劉狗児(りゅうくじ)という寺男がいました。長老が川へ洗濯にいくと、大きな卵が、ドンブラコドンブラコと流れてきて、劉狗児の洗濯桶に、ポトンところがりこみました。

 慈長老はすかさず日にすかして有精卵であることを確認。こっちとしては、そうやって確認できるんだという驚きですよ。で、旦那の小屋の鶏にあっためてもらったところが、予定日、身の丈六、七尺のこどもが鶏小屋にいました。村の民がそれを知ると、棺桶を作って地中に埋めます。


 また、歯車が動きます。

中国古典文学大系 (36)

中国古典文学大系 (36)