2011-07-22
■ [筆記][武侠][唐宋][明清]馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社 を読む(その10) 
第八回 慈(じ)長老 単(ひとり) 大士の籤を求め/蛋和尚 一たび袁公の法を盗む
慈長老は子供を埋め殺すことに失敗したのであきらめて蛋和尚を育てることとします。
しかし、育ててくれた寺男が死ぬとほかの僧たちから疎まれていた蛋和尚は寺をでて、目的はないけれど「でかいことをやりたい」と青雲の志をつのらせます。
第八回
この蛋子和尚は、人が自分のことを、卵の殻から生まれたというのを聞き、自分でも不思議なことだ、きっと凡人ではないと思いました。そして、この世の中で天地を驚かすほどの事業をやりたいものだと考えます。
馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社
ヴェンチャー精神というヤツですね。
寺を飛び出した蛋子和尚は、旅の末に白雲洞にたどり着きます。
第八回
山に逢えば山を見、水に逢えば水を見、雲遊の僧侶や道士に逢えば十日でも半月でもつき随い、たいした代物でもないとわかれば捨て去るのでした。このようなことが再三ありましたが、ある日、幾人かの僧と沔陽(べんよう)は雲夢(うんぼう)山のしたを通りかかります。(略)
「なんでもここには白雲洞というのがあって白猿神が住んでいるそうだ。天上の文字でしたためた法術があり、人に盗まれるのを恐れてこんな濃い霧を起こし、人を隔てるのだという。一年の内で五月五日の午の刻、一時(とき)ばかり、猿の神が天に登るので霧はしばらく収まる(略)」
馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社
説明台詞お疲れ様です。蛋子和尚はこれこそ自分の使命だと感じて天の法術を盗み出す機会を窺います。

- 作者: 馮夢竜,太田辰夫
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1967/11/01
- メディア: 単行本
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