蜀犬 日に吠ゆ

2011-07-23

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第九回 冷(れい)公子 はじめて厭人(えんじん)符を試み/蛋和尚 ふたたび袁公の法を盗む

 ちなみに、まだ盗めていません。

 蛋子和尚は端午の節句の日まで雲夢(うんぼう)山のふもとに住み、いよいよ霧の晴れた白雲洞に踏み込みます。最大の難所は広い谷間に架かる石橋。

第九回

およそ二里ほどのところに、果たして石橋が、広い谷間にかかっております。その長さは優に三丈あまりもあり、幅はほんの一尺ばかりで、橋の下には波が湧きかえり、乱石が縦横に刀剣の如くならんでいます。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 これも「西遊妖猿伝」でお馴染みのシーンですね。大聖ーーーーっ!!!

 白雲洞まで到達した蛋子和尚はしかし、風景の奇妙さに見とれてしまい、あっという間に霧が戻ってきます。次のチャレンジは一年後。蛋子和尚は托鉢を兼ねてあちこちへの旅に出ます。

 永州(湖南省)の石燕(せきえん)山まで来た時、蛋子和尚は冷公子とであいます。

第九回

 この公子は苗字を冷といい、当地の冷学士の子息で、なかなかの美男子に似ず、性質は酷薄、それであだ名を冷剥皮(はくひ)と申します。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 冷公子は最近、鄷(ほう)浄眼という道士に入れあげていました。鄷浄眼は巫蠱の「厭人の術」を心得ており、遠くの者を呪い殺せると吹聴していました。冷公子は乞食坊主で実験してみようと蛋子和尚を屋敷に招き、なにくれとなく世話を焼いて逗留させつつ、鄷浄眼に呪詛を依頼します。呪詛は霊験あらたか、蛋子和尚は病臥して起きられなくなってしまいます。効果あるんかい。ところが、とどめを刺す段になって、

第九回

壇の前にはたちまち怪風が吹きおこり、空中には霹靂の如き音あり、かめは四分五裂に砕け散りました。かの鄷浄眼は口から鮮血を吐き、壇の前に死んでおります。憐れむべし一世の道士も、かくて人を害するあたわず、かえってわが身を害したのでございます。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 儀式の手違いか天帝の怒りか、死んだのは鄷浄眼でございました。蛋子和尚は病も治り、再び旅に出ますが、端午が近づいたため雲夢山へと戻ります。


 このエピソード、意味あるのかなあ。結局、蛋子和尚は呪われていたことすら気づかなかったわけですし。なにか数奇な運命が予定されているとかそういうことの強調なのでしょうかね。


 さて、二度目の白雲洞。こんどは風景には目もくれず洞内へと入っていきます。

第九回

 畢竟、いつの日に法を盗みだすことができますか、それは次の回で。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社
中国古典文学大系 (36)

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