蜀犬 日に吠ゆ

2011-07-28

[]年寄りの繰り言~~山本夏彦『完本 文語文』文春文庫 19:38 はてなブックマーク - 年寄りの繰り言~~山本夏彦『完本 文語文』文春文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 恥ずかしい言葉。

私の文章作法

 故人清水幾多郎は「私の文章作法」(いま中公文庫)のなかで、言葉に好き嫌いのある人なら文章が書けるだろう、その見込みがあると言って、自分の嫌いな言葉というより見るも恥ずかしい、書くのはもっと恥ずかしい言葉をいくつかあげていた。

 「原点」「空洞化」「虚像と実像」「ふまえて」「きめこまかな」「それを何とかのたたき台にして」――まだいくらでもあるが、これらはたとえ千金をつまれても私は口にしない、また筆にしたくないと書いていた。

 もっともである。けれどもこの言いぶんを「原点」以下の書き手に承知させるのは困難である。わがマスコミ界は清水の嫌いな言葉にみちみちて、これが改まるのは、「文化」全体が熟するよりほかないから、今のところその見込みはない。

 だから文学者の文章が別にあるのである。

山本夏彦『完本 文語文』文春文庫

 晩ご飯を食べつつ民放のワイドショー*1を見ていると、文化の成熟はなくて爛熟しかなかったのだと分かります。先々週くらいに、ラーメン屋の行列で「道路のこっちがわ」は小学生のつかう言葉だと思いました。男性アナウンサーも、使い捨てになる時代なのでしょうかね。全然教育されていませんでした。

完本 文語文 (文春文庫)

完本 文語文 (文春文庫)

*1:午後5時台の番組から、キレイに「ニュース」の文字は消えましたね。その辺は筋を通すのか、羊頭狗肉だと当局に指導されるのか知りませんが。ニュースやれよ。