蜀犬 日に吠ゆ

2011-07-31

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第十一回 道法を得て蛋僧 師を訪ね/天書に遇い聖姑 弟を認む

第十一話

白玉炉の前に来ると、両膝を折って、跪き心から祈りました。

「わたくし、ここにまいりましたのは三度目でございます。どうか神さま、憐れとおぼしめし、道法をお伝えください。心より天に替わって道を行うことを誓います。(後略)」

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 「替天行道」またでましたね。しかし読んだはずなのに全然覚えてない。蛋子和尚は、憂国の士なのか。はたまた独善の徒なのか。

 祈ったのちに蛋子和尚は岩壁の刻字に紙を押し当てます。最後の一段に到る前に香気が来てしまい、あわてて洞から飛び出す。こういうのがいわゆる「伏線」というやつですね。

 麓の草庵に戻り、戦果を確認しますと、

第十一話

さっそく紙束をひろげて見ます。洞の中におりました時には、あわてふためき気もそぞろでしたので、なんとなく薄黒い字のようなものがあるように思われたのです。ところがいま見ると、もとどおりの白紙で、一点一画さえもありません。どれを調べてみても同じことです。蛋子和尚はがっかりして、目はすわり、口は開いたまま、手足は力がぬけて、ぐんにゃりしてしまいました。その時の落胆のさまは、まったく筆舌につくせませぬ。長い間、正気の沙汰でないことに夢中になり、まったく無駄であったと考えます。三度も苦労し、あやうく一命を失いかけたのに、なんとこんなにも縁がなく、僥倖で一、二行うつしとることすらできないとは。

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 だから道教(神道、茶道、柔道、剣道、華道含む)は駄目なんだよなあ。替天行道なんて嘘っぱちだと見抜かれていることに気づいていない。蛋子和尚もまるきり仏教とは無縁でしょうきちる


 蛋子和尚が世を儚んで泣いているとまた老人が現れて月光に写せば文字が見えるとか、その内容を知りたければ聖姑を尋ねよとか言います。なるほど月光に写して文字が出ます。写った文字を書き出した蛋子和尚、しかしその内容は難解で分かりません。蛋子和尚は聖姑を尋ねる旅に出ます。

 蛋子和尚は聖姑を尋ねるうち、渡し守のところで大漁のまじないをしますが我欲をかいてひどく失敗し、大失敗します。そして未熟な修行を棚にあげる。

第十一話

「古人もいっている。尽(ことごと)く書を信ずれば書なきにしかずと。世に伝わる法術はみな風を捕え影を捉(つか)まえるようなもの、嘘ばかりでほんとうのものはない。(略)」

馮夢竜 太田辰夫『平妖伝』大系36 平凡社

 嘘を嘘と見抜けないヤツが道術を使いこなすのは難しいんですけどね。

中国古典文学大系 (36)

中国古典文学大系 (36)