蜀犬 日に吠ゆ

2011-08-10

[][][][][]秋のうた を読む(その3) 19:28 はてなブックマーク - 秋のうた を読む(その3) - 蜀犬 日に吠ゆ

 ぼくは死んでいる

5

 罪びとのごくに坐して妻とふたり秋夜(しうや)の骨を守らむとする

                    木俣 修(きまた おさむ)


 『落葉の章』(昭三〇)所収。作者の第一歌集は『高志(こし)』。のち長男を得たとき作者は同じ名を息子につけた。タカシという。その子が四歳の時重病にかかり、三年病んで亡くなった。作者生涯の悲痛事だった。亡児百ヵ月の歌のひとつ。秋夜、遺骨とともに坐る父母。幼い子を先立たせた親には、その死がいかに不可避な場合でもなお、みずからを「罪びと」と感じる思いがある。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 子がいないとぜんぜんわからない感覚ですよね。1979年あたりの自民党は特定産業との癒着を深めて21世紀の少子高齢化を引きおこしているのですが、まあどうでもいいと思ってたんですかね。


6

 くろがねの秋の風鈴(ふうりん)なりにけり

                  飯田蛇笏(いいだだこつ)


 『霊芝』(昭一二)所収。近代の秋の名句として有名。字面の意味は、秋、鉄の風鈴が鳴った、というにすぎないが、この句はそんな字面の意味のよって鳴っていない。「くろがねの」は単に鉄を意味するだけではなく、音感そのものがどっしり思いものの印象を生む。「くろがねの秋の」と続く時、秋がひそかにくろがねに変じ、やや季節はずれの風鈴の中で、深沈と鳴るのである。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 この解説からはフォースの暗黒面しか読みとれないので時間をおかせて下さい。


折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)