蜀犬 日に吠ゆ

2011-08-18

 更けると涼しい月がビルの間から (山頭火)


[][][]マイケル=ハワード 奥村房夫奥村大作共訳『ヨーロッパにおける戦争』中公文庫 16:45 はてなブックマーク - マイケル=ハワード 奥村房夫奥村大作共訳『ヨーロッパにおける戦争』中公文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 もう何というか、国民国家間における近代の戦争って過去のものになりましたよね。両大戦は、軍事同盟陣営による、民間の生産力も巻き込んだ総力戦に移行していく時期で、いまだに国民国家の抗争という要素が残っていました。

 マイケル=ハワード『ヨーロッパにおける戦争』中公文庫 の目次をメモしておきます。

目次

第一版への序 3
二〇〇九年版の序 5
第1章 封建騎士の戦争……13

 封建制と戦士階級  騎士騎士道  戦争と法  各国の封建制

 兵器と戦術の変化  傭兵の登場

第2章 傭兵の戦争……45

 中世的戦争の変質  戦争請負業者の流星  傭兵隊とその戦術

 防御側の優越

第3章 商人の戦争……73

 ヨーロッパの膨張  交易と私掠船  重商主義と戦争

第4章 専門家の戦争……97

 専門的軍隊とオランダ  グスタフ・アドルフによる改革  兵器

 の改良  官僚制と軍隊  プロイセンの発展

第5章 革命の戦争……129

 ナポレオン革命  フランス革命とナポレオン戦争  ナポレオン

 戦略と十八世紀的戦略  ナポレオン戦争とイギリス

第6章 民族の戦争……156

 王政復古期  管理革命  技術革命  将校の非貴族化と兵士

 大衆化  軍国主義的ナショナリズムと大衆

第7章 技術者の戦争……188

 第一次世界大戦とヨーロッパ  技術的変化と海軍  空軍の登場

 技術的変化と陸軍


エピローグ――ヨーロッパ時代の終焉……217
第一版訳者あとがき 236
文庫版訳者あとがき 239

註 243
参考文献 248
「キャプテン・プロフェッサー」

       ――マイケル・ハワードと戦略研究  石津朋之 268

索引 311
マイケル=ハワード『ヨーロッパにおける戦争』中公文庫


[][][][][]秋のうた を読む(その11) 16:24 はてなブックマーク - 秋のうた を読む(その11) - 蜀犬 日に吠ゆ

21

 わが心なぐさめかねつ更級(さらしな)や姨捨山(をばすてやま)にてる月を見て

                         よみ人しらず


 『古今集』雑上。信州更級郡姨捨山を月の名所として有名にした歌。都からの寂しい旅人が美しさを通り越して凄味(すごみ)さえ感じさせるほどにさえざえと照る月を見あげて、思わずもらした嘆きの歌か。この古歌は同地方の棄老伝説と結びつき、老母を村の慣習通り山に捨ててきた孝行息子が、悲しみにたえきれず、この歌を歌って母を連れ戻しに行ったというよく知られた説話を生んだ。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 「伝説」と「説話」の違いって何でしょう。『新潮現代国語辞典』「説話」をひくと、「文学の一ジャンル。伝説に類似するが、時代が示され人物が固有名詞で語られるもの。」なるほど。



22

 わが心澄(す)めるばかりに更(ふ)けはてて月を忘れて向(むか)ふ夜(よ)の月

                        花園院(はなぞのいん)


 『風雅集』秋中。十四世紀半ばのこの勅撰和歌集は、南北朝争乱期、わずかな平穏の時を利用して編まれた。花園院はその中心的推進者だったが、歌人としても伏見院や永福門院と並ぶ当時の代表的な皇室歌人だった。すみずみまで澄みきったと思えるほどに、心も、夜も、しんしんと更けつくし、ふと気づけば、自分は月を見ていることさえ忘れて月に向かっていた。ある種の宗教性さえ感じさせるような、無我の世界。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 ある種というよりものすごく仏教(禅)を感じます。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)