蜀犬 日に吠ゆ

2011-08-28

[][][][][]秋のうた を読む(その21) 19:42 はてなブックマーク - 秋のうた を読む(その21) - 蜀犬 日に吠ゆ

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 吹きしをる四方(よも)の草木のうら葉(ば)見えて風にしめらる秋のあけぼの

                    永福門院内侍(えいふくもんいんのないし)


 『玉葉集』秋上。従三位藤原基輔(もとすけ)の娘で伏見天皇中宮永福門院に仕えた女官。玉葉・風雅時代とよばれる和歌新風の一翼をになった。「しをる」は植物を風や雪が押したわめるさま。「うら葉」は末葉だが、ここでは葉の「裏」の意も同時に含まれていよう。風が草木のうら葉を吹きたわめ、葉の騒ぎのうちに、秋のあけぼのが白んでくる。葉裏の白さと、しらじら明ける空の白さと。いずれも刻々動きながら。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 「玉葉・風雅時代とよばれる和歌新風」っていつでしょうね。

永福門院内侍(生没年不詳)

 鎌倉時代、京極派前期の貞和百首の作者となった有力歌人。父従三位藤原基輔。永福門院の中宮時代から近侍し、歌友でもあった。玉葉に12首、風雅に27首他。伏見院皇女進子は姪に当るか。進子を養育し、播磨国の所領まで伴って行った。 112

大岡信『折々のうた』岩波新書

 京極為兼『玉葉和歌集』(1312)、光厳院『風雅和歌集』(1346)か。1286年に南北朝が決裂し、1333年に鎌倉幕府が滅亡という動乱期に、歌なんか詠んでる場合か? 炎燃は、それに「マンガなんか描いてる場合など、ない! だけど描く!」って答えたんですけどね。


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 しら刃(は)もてわれにせまりしけはしさの消えゆく人をあはれと思ふ

                     与謝野晶子(よさのあきこ)


 『佐保姫』(明四二)所収。晶子は生涯に約五万首詠んだという多産な天才だが、和泉式部に比すべき近代のこの愛の歌人は、和泉同様、愛の歓楽だけでなく、悲哀をうたう時、比類ない女の歌をうたった。右は三十一歳、女盛りの歌集に収める。かつて白刃をつきつけるように真剣に自分に迫ったこともある愛する人が、しだいにしぼみ変わってゆく悲しみ。それをしいて「あはれと思ふ」と言い切って、なお悲しむ。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 相変わらず晶子姉さん狂ってるとしか感想がありません。

 年をとると変わるのよ、分かってよ。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)