蜀犬 日に吠ゆ

2011-08-29八朔

 穴の中にて鳴く虫の鳴きつゞけてゐる(山頭火)


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 ですって。

第二一章 君主が衆望を集めるには、どのように振るまうべきか

 さらに、君主は(実力のある人物を重用し)、一芸にひいでた人を賞揚して、みずからが力量ある人に肩入れしていることを示さなければならない。それと共に、市民が商業、農業、その他いっさいの人間の営みにおいて、各自が安心して仕事に従事できるように、勇気づけなくてはいけない。そして市民が、君主にとりあげられるのがこわさに、自分たちの私財をふやすのをおそれることなく、また重税こわさに商取引をさしひかえたりしないように、配慮しなくてはならない。

マキアヴェリ『君主論』中公クラシックス
君主論 (中公クラシックス)

君主論 (中公クラシックス)


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 をんなが附属品をだんだん棄てると

 どうしてこんなにきれいになるのか。   高村光太郎(たかむらこうたろう)


 『智恵子抄』(昭十六)所収。妻智恵子賛美の詩「あなたはだんだんきれいになる」冒頭二行。昭和二年の作で光太郎四十五歳、智恵子四十二歳だった。彫刻家・詩人の暮らしは定収入がなく、よく無一文に陥った。智恵子は「つひに無装飾になり、家の内ではスエタアとヅボンで通すやうになつた。しかも其が甚だ美しい調和を持つてゐた」と光太郎はのちに「智恵子の半生」で回想している。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 『智恵子抄』って戦争中でしたか。なんだか戦後のイメージを勝手に持っていました。記憶を上書きしておかなければ。

 「附属品」というのは、化粧や装飾品、凝った衣装などをさすのでしょう。そうしたものがない方がいい、というのは男女を問わずに美しさの条件になるでしょうね。化粧やおめかしがいかんというのではないのですが、それによって「嘘」をついているという自己認識が、人を見にくくするんじゃないかと、勝手に思っております。正直でいる、ということが「気品」の源になり、その人をよく見せるのでしょう。美しい人をもっと美しく、そうでない人をそれなりに。

 

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 つぶらなる汝(な)が眼吻(す)はなん露の秋

                  飯田蛇笏


 『山廬(さんろ)集』(昭七)所収。大正三年二十九歳の作。当時蛇笏には、芥川龍之介を感嘆させた「死病えて爪うつくしき火桶かな」の繊美な句があったが、右のような純情可憐な句もあった。「吻」の字は口先、唇の意で吸う意はない。「吻はなん」も本来は「吻ひなん」で、共に厳密には誤用だろう。しかし「汝が眼吻ひなん」ではぶちこわしになるのが詩の不思議。接吻を連想させつつ「眼」のことしか言わないところ、純情句だが手腕はしたたか。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 純情可憐どころか生々しくてもう気色悪い。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)