蜀犬 日に吠ゆ

2011-09-07

[][][][]曹操の評価~~『中国史』2三国▼唐 世界歴史大系 山川出版社 20:16 はてなブックマーク - 曹操の評価~~『中国史』2三国▼唐 世界歴史大系 山川出版社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 曹操悪玉論を目にして、歴史に詳しそうな人が「曹操は永遠の悪玉」みたいな言い方をしていたので「正史以外では、そうでもないよ」「そういう時期ばかりでもなかったよ」という話を。

第一章 三国

補説1 曹操にたいする評価について

 中国の古典劇における曹操は顔を白くぬってあらわれる。白ぬりは姦悪(かんあく)の役柄である。曹操のイメージは悪く、三歳の子供でさえも彼をひどく憎んだと現代中国の歴史学の大家郭沫若(かくまつじゃく)氏はいう。しかし曹操にたいする評価はそれでもって一貫してきたわけではない。

 曹操評価の基準というべきもののひとつに正統論がある。つまり、魏と蜀漢のいずれを正統王朝として認定するかという問題が曹操評価に関わってくるのであるが、正統論は時代状況によって大きな影響を受ける。晋は魏の禅譲をうけたから、西晋時代の論者は魏を正統とみなす。陳寿(ちんじゅ)の『三国志』が魏を本紀であつかい、呉・蜀の君主を列伝のなかであつかっているのはその代表例であるが、彼は曹操に「非常の人、超世の傑(けつ)」という肯定的な評価を与えている。

『世界歴史大系 中国史』2 三国▼唐 山川出版社

 しかし、北方異民族に蹴散らされて「華夏族の優越」を誇るしか取り柄がなくなった東晋以降はことさら漢が賞揚され、その後継である蜀漢こそ正統であるとの常識がうみだされていきます。

第一章 三国

補説1 曹操にたいする評価について

同様のことは宋代にもみられる。北宋では魏正統説が中心であった。司馬光(しばこう)は、天下統一がなされなかったゆえに魏を完全な正統とは認めないものの、『資治通鑑(しじつがん)』では実質上魏を正統としてあつかっていて、曹操のとらえかたも肯定的であるし、蘇軾(そしょく)の「赤壁(せきへき)の賦(ふ)」は曹操を英雄としてとらえている。いっぽう、南宋では華北をうばった金を魏に、みずからを蜀漢に比定する考え方がおこなわれる。そして朱熹(しゅき)(朱子)が『資治通鑑綱目』において蜀漢を正統としたことは、正統論の帰結を定めたのである。

『世界歴史大系 中国史』2 三国▼唐 山川出版社

 中華帝国に余裕があって全体的な言説をバランスよく見渡せるなら曹操は傑物であり、国難状態で漢民族のアイデンティティが脅かされる時代には蜀漢、劉備礼賛がはじまるのですね。

 「どこで生まれたか」なんぞという些細な事象しかプライドのよりどころがない国ってのは、落ち目にある訳ですね。ひどい結論だ。