蜀犬 日に吠ゆ

2011-09-20

[][][]小なる章を読む(その20) 「一二、ヴァンギーサ」 19:19 はてなブックマーク - 小なる章を読む(その20) 「一二、ヴァンギーサ」 - 蜀犬 日に吠ゆ

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

実際に死ぬ

第二 小なる章

一二、ヴァンギーサ

 わたくしがこのように聞いたところによると、――あるとき尊き師(ブッダ)はアーラヴィーにおけるアッガーラヴァ霊樹のもとにおられた。そのとき、ヴァンギーサさんの師でニグローダ・カッパという名の長老が、アッガーラヴァ霊樹のもとで亡くなってから、間がなかった。そのときヴァンギーサさんは、ひとり閉じこもって沈思していたが、このような思念が心に起こった、――「わが師は実際に亡くなったのだろうか、あるいはまだ亡くなっていないのだろうか?」と。

 そこでヴァンギーサさんは、夕方に沈思から起き出て、師のいますところに赴いた。そこで師に挨拶して、傍らに坐った。傍らに坐ったヴァンギーサさんは師にいった、「尊いお方さま。わたくしがひとり閉じこもって沈思していたとき、このような思念が心に起こりました。――〈わが師は実際に亡くなったのだろうか、或いはまだ亡くなっていないのだろうか?〉」と。

 そこでヴァンギータさんは座から立ち上がって、衣を左の肩に掛けて右肩をあらわし、師に向って合掌し、師にこの詩を以て呼びかけた。

中村元『ブッダのことば』岩波文庫