2011-11-20
■ [筆記][国文][評論][折々のうた][冬歌]冬のうた を読む(その13) 
25
しゃべり散らすな 愛を
おもひきり胸には水をそそげ 逸見猶吉(へんみゆうきち)
『逸見猶吉詩集』(昭一三)の詩「蠅の家族」冒頭二行。昭和十年刊の詩誌「歴程」創刊メンバー。青年が社会に対して抱くけわしい孤立感を枝として、自分自身をたえず酷寒の精神状態に追いつめつつ、贅肉を削りおとしたことばで誌を書こうとした。右の二行にもその意志は明らかに表現されているように思われる。昭和十二年渡満、会社勤めをしたが、敗戦の翌年、肺肝と栄養失調のため長春で死んだ。
大岡信『折々のうた』岩波新書
うー。こう言うのは分かりません。なんの譬喩?
26
人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな
藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)
『後撰集』巻十五雑一。京の鴨川の堤に邸があったので堤中納言とよばれた人。紀貫之ら当時の代表的な文学者たちのパトロン的存在だった。紫式部の曾祖父に当たる。親の心は夜の闇とは違うのに、子のことを思う道はまっくら闇、途方にくれるばかりだ、というこの歌、平安時代はすうでにきわめて有名で、『源氏物語』でも数えると最も多く引き合いに出されているという。時は移ってもこの歌の溜息は生き続けているうようだ。
大岡信『折々のうた』岩波新書
ふーん。「心の闇」が誤用されてる今の時代とは、解釈が変わるかもしれません。

- 作者: 大岡信
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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