蜀犬 日に吠ゆ

2011-11-20

[][][][][]冬のうた を読む(その13) 21:46 はてなブックマーク - 冬のうた を読む(その13) - 蜀犬 日に吠ゆ

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 しゃべり散らすな 愛を

 おもひきり胸には水をそそげ   逸見猶吉(へんみゆうきち)


 『逸見猶吉詩集』(昭一三)の詩「蠅の家族」冒頭二行。昭和十年刊の詩誌「歴程」創刊メンバー。青年が社会に対して抱くけわしい孤立感を枝として、自分自身をたえず酷寒の精神状態に追いつめつつ、贅肉を削りおとしたことばで誌を書こうとした。右の二行にもその意志は明らかに表現されているように思われる。昭和十二年渡満、会社勤めをしたが、敗戦の翌年、肺肝と栄養失調のため長春で死んだ。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 うー。こう言うのは分かりません。なんの譬喩?



26

 人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな

                  藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)



 『後撰集』巻十五雑一。京の鴨川の堤に邸があったので堤中納言とよばれた人。紀貫之ら当時の代表的な文学者たちのパトロン的存在だった。紫式部の曾祖父に当たる。親の心は夜の闇とは違うのに、子のことを思う道はまっくら闇、途方にくれるばかりだ、というこの歌、平安時代はすうでにきわめて有名で、『源氏物語』でも数えると最も多く引き合いに出されているという。時は移ってもこの歌の溜息は生き続けているうようだ。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 ふーん。「心の闇」が誤用されてる今の時代とは、解釈が変わるかもしれません。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)