蜀犬 日に吠ゆ

2012-01-16

[][][]言葉のこと~~『中学生の教科書』四谷ラウンド 19:40 はてなブックマーク - 言葉のこと~~『中学生の教科書』四谷ラウンド - 蜀犬 日に吠ゆ

 最近、言葉がうまく話せなくなりました。無職になって話す人が極端に限定されたためだとは思うのですが、言葉を商売にしていきたい人間として、これはちょっと困り事です。だれか話し相手になってよ(笑)。

中学生の教科書―死を想え

中学生の教科書―死を想え

国語・外国語 ……島田雅彦

一、言葉とは何か

 人は言葉から完全に離れて暮らすことはできない。君の目や耳には言葉が絶えず流れ込んでくるし、頭の中で何かを考えることをやめられない。君は眠っている間も言葉を使っている。夢の中の君や友達はしきりに何事かを話しているだろう。十九世紀のドイツの話しだ。全く言葉を知らず、誰とも話したことがない人がいた。


 彼はガズパー・ハウザーと呼ばれたが、もちろん、その名前は後からつけられたもので、最初は名前もなかった。生まれてから、ずっと家の牢屋に閉じ込められていて、誰とも話したことがなかった。ある日、彼はその家から外の世界へと出ていった。満足に歩くことさえできなかった。村の人はその異様な風体の青年に話しかけたが、全く言葉は通じない。外国人かと思ったが、ただうめき声を上げるだけで、一切の言葉を知らないことがわかった。一人の博士が彼に興味を持った。この青年に言葉を教えれば、文明人と同じ生活ができるようななるか、試してみようと思った。博士の教育は、少しづつ効果を上げ、ガズパー・ハウザーはドイツ語を話し、社会的な生活ができるようになった。さて、この場合は博士を誉めるべきか、ガスパーを誉めるべきか? 二人の関係は赤ん坊と親の関係に似ている。誰しも自分の言葉が通じない世界では、ガスパー・ハウザーと同じ道を辿ることになる。博士のようないい教師にめぐり合える保証はないけれども、すでに母の舌を持っている君はガズパーよりも早く、新たな環境に慣れることができるはずだ。

『中学生の教科書』四谷ラウンド

 カスパー・ハウザー wikipedia

 逆に、話す機会が減れば減るほど言葉を失っていくのでしょうか。そういう研究もあるのでしょうか。