蜀犬 日に吠ゆ

2012-02-02

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大衆の反逆 (中公クラシックス)

大衆の反逆 (中公クラシックス)

第一部 大衆の反逆

11 《慢心した坊ちゃん》の時代

 以上のことを要約してみよう。私がここで分析しているのは、ヨーロッパの歴史は、いまやはじめてて、じっさいに凡庸な人間の決定にゆだねられているように見えるという新しい社会的事実である。受身でなく能動系でいえば、以前は支配されていた凡庸な人間が、世界を支配しようと決意したのである。社会の前面に迫りだそうというこの決意は、凡庸人によって代表される人間の新しいタイプが成熟するやいなや、自然にかれらの心のなかに生じたのである。社会生活の諸事実に注意を払いながら、この大衆的人間の心理構造を研究すれば、次のことがわかる。

 (1)大衆的人間は、生は容易であり、ありあまるほど豊かであり、悲劇的な制限はないというふうに、心底から、生まれたときから感じており、したがって、各平均人は、自分のなかに支配と勝利の実感を抱いている。

 (2)そのことから、あるがままの自分に確信をもち、自分の道徳的・知的資質はすぐれており、完全であると考えるようになる。この自己満足から、外部の権威にたいして自己を閉鎖してしまい、耳をかさず、自分の意見に疑いをもたず、他人を考慮に入れないようになる。たえずかれの内部にある支配感情に刺激されて、支配力を行使したがる。そこで、自分とその同類だけが世界に存在しているかのように行動することになるだろう。

 したがって、(3)慎重も熟慮も手続きも保留もなく、いわば《直接行動》の制度によって、すべてのことい介入し、自分の凡庸な意見を押しつけようとするだろう。

 ここに掲げた諸特徴から、《甘やかされた子》、反逆する未開人、すなわち《野蛮人》といったなんらかの欠陥のある人間が想起された(正常な未開人は、これとは逆に、宗教、タブー、社会的伝統、習慣のような上位の権威にたいして、もっとも従順な人間である)。このような人間に向かって私が悪口を浴びせるからといって、驚くいわれはない。

オルテガ『大衆の反逆』中公クラシックス

 20世紀初頭のスペインって、大変だったのですね。他人事ですが。このあとスペイン革命、フランコ独裁政権と人民戦線の泥沼の内線と激動の時代に突入するのですね。