蜀犬 日に吠ゆ

2012-08-22

[][]そもそもみらいはあるの?~~橋本治『その未来はどうなの?』集英社新書 21:57 はてなブックマーク - そもそもみらいはあるの?~~橋本治『その未来はどうなの?』集英社新書 - 蜀犬 日に吠ゆ

 

 『貧乏は正しい!』小学館文庫 以来、久しぶりの「地を這う方法」。

その未来はどうなの? (集英社新書)

その未来はどうなの? (集英社新書)

 目次

目次

  • まえがき――自分の未来はどうなの? ――8
  • 第一章 テレビの未来はどうなの? ――17
    • 地デジの後はどうなるの?
    • テレビってなんだろう?
    • 向こうからやって来るチャチで下らないもの
    • テレビは誰にも変えられない

  • 第二章 ドラマの未来はどうなの? ――33
    • 指針のない世に、人はドラマを「生きる指針」とする
    • 講談の中に「挫折」はない
    • 「人生の指針となるドラマ」があった時代
    • 「生きる指針」があるんだかないんだか分からない時代
    • 再現ドラマですべてはOKなのか?

  • 第三章 出版の未来はどうなの? ――51
    • 本とコンピューターは仲が悪い?
    • えらい人」のいる業界
    • 大衆化というパラドックス
    • 斜陽化した中央集権

  • 第四章 シャッター商店街と再婚の未来はどうなの? ――69
    • 「商店街」を考える
    • 都市にあって「都会的」ではないもの
    • 生活感のあるところとないところ
    • 労働のある結婚生活
    • 商店街は動けない
    • 「町」のあり方を示す顔

  • 第五章 男の未来と女の未来はどうなの? ――93
    • 小太りの女が火の点いた七輪コンロを持って顕れると
    • 美人」という権利
    • それはどういう変わり方か?
    • 女は変わることが出来ても、男は譲歩しか出来ない
    • 勃興した新興国は先進国を滅ぼすことが出来ない
    • 「思いやり」もまたむずかしい

  • 第六章 歴史の未来はどうなの? ――117
    • 「大賢は歴史に学ぶ」というけれど
    • 織田信長が天下を統一したとしても
    • もう歴史が役に立たない
    • 支配者が自分の正当性を確認するためのもの

  • 第七章 TPP後の未来はどうなの? ――135
    • 安政の不平等条約を思い出す
    • 関税率が低くて得をするのは、輸出側と輸入側のどっち?
    • 東日本大災が起こったので
    • どうして日本は譲歩を続けなければいけないのか?
    • どうなるかではなく、どうするか

  • 第八章 経済の未来はどうなの? ――197
    • エコノミストはなんでも知っていた
    • 世界経済が破綻した後で
    • どこかに大きな錯覚がある
    • 軍備拡大競争にも似て
    • 日本の選択肢

  • 第九章 民主主義の未来はどうなの?
    • 民主主義は究極の政治形態である
    • 民主主義は独裁体制を生めるのか?
    • 世界中が民主主義を肯定する前例のない世界
    • 民主主義はズルをする
    • 王様ばかりが多すぎる
    • 王様なら王様に学ぶしかない

  • あとがき ――202
橋本治『その未来はどうなの?』集英社新書

 その未来は、、、先詰まりなものばかりを並べるセンスがさすがです。ハシモト氏は単なる文学探偵以上です。具象から抽象への構成もすばらしい。

 大量に反論が浮かぶあたりのアオリもすばらしい。「知りません」と「分かりません」の使い分けを枕にするあたりでもうおつむが大噴火ですよ。


 夫子の「憤(いきどお)らざれば啓せず、悱(ひ)せざれば発せず。一隅を挙げて、三隅を以て返さざれば、復たせざるなり。」とは逆に、たくさんの「考えるヒント」がいただけました。

 


 あとがきはすこうし驚きました。

あとがき

 私の病気は「完治のない病気」と言われ、更に入院中にもう一つ別の病気を発見され、退院した後になってもまた別の病気を併発させました。それを総合すると、「やたらと疲れて、集中力が続かずすぐに眠くなって、しかも足が痛くて歩行がままならない」という状態になります。

橋本治『その未来はどうなの?』集英社新書

 内臓系かしら(併発の頻度からして)?

あとがき

 ちょっと考えて、すぐに疲れて頭は停止して眠くなってしまうのですが、しょうがないのでそうなったら寝ます。退院後にも私は病院に通っていて、主治医の先生から、「はっきり言って、あなたの状態は”これ以上よくなるなりようがない”という低水準で安定しちゃってる」と言われました。

橋本治『その未来はどうなの?』集英社新書

 「あなたの状態は”これ以上よくなるなりようがない”という低水準で安定しちゃってる」てのが譬喩であることはわかります。でも、橋本先生、すえながく「安定」していただきたいものです。

貧乏は正しい! (小学館文庫)

貧乏は正しい! (小学館文庫)

ぼくらの未来計画―貧乏は正しい! (小学館文庫)

ぼくらの未来計画―貧乏は正しい! (小学館文庫)

ぼくらの最終戦争(ハルマゲドン)―貧乏は正しい! (小学館文庫)

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「わからない」という方法 (集英社新書)

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[][][][]春日ゆら『先生と僕』2 メディアファクトリー 20:58 はてなブックマーク - 春日ゆら『先生と僕』2 メディアファクトリー - 蜀犬 日に吠ゆ

 夏目漱石おもしろエピソード4コマ。1巻は単発ネタの羅列でしたが、 2巻は時系列に沿って「熊本五高~朝日新聞入社」まで。

 

 ですから、トピックとしては「俳句はじめ」「夏目狂セリ」「子規、死す」「ラフカディオ・ハーン更迭」「猫伝」「坊っちゃん」「倫敦塔」「朝日移籍」といったところ。

 しかし、歴史上の人物うんちくもので、フィクションはどの程度混ぜてよいのか悪いのでしょうか。



 とりあえず、シェークスピア研究家のクレイグ先生に個人教授を申し込みに行きます。下宿はベーカー街の近くだったようです。

先生とベーカー街

ベーカー街といえば

 ベーカー街221Bに住む名探偵といえばシャーロック・ホームズ。ホームズは架空の人物ではありますが、同時代同場所に通っていたなら会っていてもおかしくない! と、ホームズと共演しているパスティーシュ作品もいくつか存在しています*1

春日ゆら『先生と僕』2 メディアファクトリー

 夏目漱石の英国留学は1900~1902年。これがまた例によってシャーロキアン(セカンド・ストーリテラー)にとっては垂涎の時期ではあるわけです。

第二十二章 多忙な日々

「一八九四年から一九〇一年まで、シャーロックホームズは非常に多忙であった。この八年間に、警察がとり扱った難しい事件の中で、ホームズが相談を受けなかったものはないと言ってもよい程だった。」

W・S・ベアリング・グールド著小林司・東山あかね訳『シャーロック・ホームズ ガス灯に浮かぶその生涯』河出文庫

第二十二章 多忙な日々

「ほかにもまだ、興味がある事件やたいして面白くもない事件があるが、あまりたくさん発表しすぎると、かえって、私の尊敬してやまないひとの評判に逆効果を与えることになっては何にもならないので発表しなかったのである。」

W・S・ベアリング・グールド著小林司・東山あかね訳『シャーロック・ホームズ ガス灯に浮かぶその生涯』河出文庫

 まーグ-ルドはじめ泰西の人たちにはほとんど相手にされていないのですけどね。千円札(D号券:1984~2007年発行)にしても、よそには通じまい。


 ついでに言うと南方熊楠と孫文がオクスフォードで交友を始めたのが一八九七年なので、一八八八年に突然滅びた町「ウィンド・ナイト・ロッツ」に民俗調査に行ってもいいのよ? (「奇妙な」ことに、「切り裂きジャック」が犯行をやめて姿を消した年でもあります。)


 新聞報道、鴎外の千駄木の家(樋口一葉)、ベストセラー作家になってからのマスコミとの戦い(『坊っちゃん』の黒板の元ネタ)、ピン助とキシャゴの派閥と狩野亨吉派の抗争(『坊っちゃん』は狩野派)。このころが一番おもしろいので、ネタはまだまだある! これからもどんどん面白くなる!!



シャーロッキアン!(1) (アクションコミックス)

シャーロッキアン!(1) (アクションコミックス)

[][][][][]小林まこと『沓掛時次郎』講談社 23:49 はてなブックマーク - 小林まこと『沓掛時次郎』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 漫画屋さんに行っても漫画が売っていない悲しみ。『一本刀土俵入』が欲しい。

 と思ったら、前二作の感想も書いていませんでした。


 第二作、『沓掛時次郎』

劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)

劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)

 「沓掛」は信州小諸の地名なんですね。


あらすじ

 沓掛時次郎がヤクザの抗争に参加して人を殺す。×2

 一度目の落ち度を二度目で償うことが出来ない。


 上手な漫画であればあるほど割ったコマのつながりがドラマを造るので、スキャンしづらい。

 著作権侵害の罪悪感はその分少ない。

*1:山田風太郎『黄色い下宿人』あたりが有名? 未読です。(引用者)