蜀犬 日に吠ゆ

2012-09-22

[][]どの神の下にも新しきものなし丸谷才一『月とメロン』文春文庫 22:27 はてなブックマーク - どの神の下にも新しきものなし丸谷才一『月とメロン』文春文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ


月とメロン (文春文庫)

月とメロン (文春文庫)

月とメロン

歴史の書き方

 明治文学は人気(じんき)が荒れてゐた。森鴎外のいろんな論争などその最たるもので、何でもいいからとにかく勝ちあいい、勝つて自分が偉いことを天下に明らかにしたいといふ、あまり上等でない野望にみちてゐた。そんなこと何にもしなくたつて、偉い人だつたのにねえ。惜しいことをしました。


 これは大正、昭和のことになるが、斎藤茂吉の論争術も鴎外に学んだもので、よく言へば猛烈、悪く言へば下等なことを平然と口にして、相手をげんなりさせ、向うが厭になつて黙り込むと、勝つた勝つたとはしやぐ程度の低い読者も茂吉が勝つたと思ふ、けれど、同時代および後世、彼の歌に当るものを何も持合わせてゐない連中が真似をしたのは悲惨だった。

丸谷才一『月とメロン』文春文庫

「何も持合わせてゐない連中が真似をしたのは悲惨」

「何も持合わせてゐない連中が真似をしたのは悲惨」

 悲惨。現在進行形。


月とメロン (文春文庫)

月とメロン (文春文庫)