蜀犬 日に吠ゆ

2012-09-27

[][][]春秋に義戦なし 16:16 はてなブックマーク - 春秋に義戦なし - 蜀犬 日に吠ゆ

春秋に義戦なし

尽心章句 下
一(二) 孟子曰わく、春秋に義戦なし。彼これより善きは、則ちこれあり。征とは上、下を伐つなり。敵国に相征せざるなり。

 孟子曰、春秋無義戦、彼善於此、則有之矣、征者上伐下也、敵国不相征也、

貝塚茂樹訳『孟子』中公クラシックス
尽心章句 下

 孟先生が言われた。

「『春秋』には正義の戦争が一つも記録されていない。ある国が敵国より比較的よい場合はもちろんある。不正の者を征するのは、上級の者が下級の者を討伐することであり、同格の国は互いに不正を征することはできないからである。」

*「春秋に義戦なし」とは、まことに名言である。国際戦争というものには、一方が絶対に正義で、他方が絶対に不正だという場合はめったにない。どちらも、ある点で正義であり、ある点で不正である。孟子のいうように、どちらかが比較的よく、どちらかが比較的悪いという場合が大部分であろう。そういう者同士の戦いに義戦はありえないというのも正しいであろう。それにもかかわらず、自己を絶対に正義とし、相手を不正と信ずることによって戦争が起こるのはおかしいと孟子は考える。正義の戦いは上級のもの、いや、国をこえた権威によって、はじめて許されるというのも、私は賛成である。『春秋』学者としての孟子の歴史認識は、歴史の底までよく見通している。

貝塚茂樹訳『孟子』中公クラシックス
孟子 (中公クラシックス)

孟子 (中公クラシックス)