蜀犬 日に吠ゆ

2012-10-22

[][][]佐佐木信綱編 巻十六『万葉集』下巻 岩波文庫 19:59 はてなブックマーク - 佐佐木信綱編 巻十六『万葉集』下巻 岩波文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

昔老翁あり、號を竹取の翁と曰ひき

 竹取物語。

巻十六

昔老翁(おきな)あり、號(な)を竹取の翁と曰(い)ひき。この翁、季春の月に、丘に登りて遠く望むに、忽に羮(あつもの)を煮る九箇(ここのたり)の女子(をとめ)に値(あ)ひき。百の嬌(こび)も儔(たぐひ)なく、花の容(かたち)も匹(たぐひ)なし。時に娘子(をとめ)ら、老翁を呼び嗤ひて曰く、叔父(をぢ)來てこの鍋の火を吹けといふ。ここに翁唯唯(をを)と曰ひて、漸(やややや)に趍き徐(おちぶる)に行きて、座の上に著接(まじは)りき。良久(しばらく)ありて、娘子(をとめ)ら皆共に咲(ゑみ)を含み相推譲(おしゆづ)りて曰く、阿誰(たれ)ぞこの翁を呼びしといふ。すなはち竹取の翁謝(ことわ)りて曰く、非慮外(おもひのほか)に、たまたま神仙(ひじり)に逢ひぬ。迷惑(まど)へる心敢へて禁(おさ)ふる所なし。近く狎(な)るる罪は、希はくは贖(あがな)ふに歌以ちてせむといひて、即ち作れる歌一首并に短歌

佐佐木信綱編『万葉集』下巻 岩波文庫

 「三七九一番」の詞書。竹取物語というよりも「こぶ取りじいさん」に近い感じでしょうか。娘たちにとっては、「ぬらりひょん」か。しかししばらく飲み食いしてから、「叔父さん誰なの?」って。セキュリティがゆるすぎるような気もします。

新訂 新訓・万葉集〈下〉 (岩波文庫)

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